いながきの駄菓子屋探訪11北海道網走市「高橋菓子舗」オリジナル駄菓子の店

全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道網走市の「高橋菓子舗」です。

普通の駄菓子屋ではない予感

北見市にある小売りもしている問屋さんを訪ねたところ、網走市内で卸しているお店が2軒あるということで場所を教えていただきました。この問屋さんはオホーツク圏の駄菓子屋を下支えする重要な存在だったので、また別の機会で触れたいと思います。

網走の中心部から南東にしばらく行くと街道沿いにチェーン店が立ち並ぶエリアがあり、周辺には住宅街が広がっています。教わった住所に行くと、「高橋菓子舗」という看板がついた、洋菓子屋さんのような雰囲気の黄色い建物がありました。

お店に入ると、まず目に入るのがポップコーンの自動販売機。この機械があるだけで、「ここは普通の駄菓子屋ではないぞ!」という良い予感がします。四角く広い店内は基本的には駄菓子売り場になっていて、隅に和菓子と洋菓子を売るカウンターがあり、さらにその奥が厨房という造り。

売り物の中に、初めて見る駄菓子を発見しました。チョコレートがかかったクッキーが3つ串に刺さったもので、立派な大きさなのに値段は20円、しかも当たり付き(串の先が赤いと当たりの、きなこ棒方式でした)。気になりすぎて「これってどこのやつなんですか?」と男性の店主に聞くと、「ああ、それうちのオリジナル。洋菓子に使うチョコレート使ってるからうまいよ!」とのこと。実際にいただいてみると、たしかに駄菓子らしからぬ上品な味がして、とてもおいしかったです!

子どもたちが喜ぶ姿を見るのが楽しい

高橋菓子舗は昭和47年に、作りたての和菓子・洋菓子を販売するお店として現店主のお父さんが創業したそうです。当時は周辺に何もなかったそうなのですが、街が整備されて住宅街が広がり、人が増え、順調に商売を続けてきたとのこと。ある時、「大人のお客さんだけじゃなくて、子どもも気軽に来られるようにしたいな」と思ったことがきっかけで駄菓子を置き始め、現在の形に至るそうです。

「父親がなにかとアイデアマンっていうかさ、店を建てた場所も、商売の広げ方も、いろいろと目の付け所が良かったよね。このチョコクッキーも、だんご3兄弟が流行った時に父親が作ったんだわ。当時からずっと洋菓子の材料屋さんには『これを20円で売ったら駄目でしょ!』って怒られてるんだけど(笑)、子どもたちが喜ぶからさ。駄菓子屋はやっぱり、そういう姿を見るのが楽しいからね」

とてもフレンドリーで、駄菓子のことから地域のことまでいろいろと教えてくださった店主。お店は「4丁目の高橋さん」ということで、子どもたちからは「よんたか」と呼ばれていました。洋菓子の食材を使った安価なメニューは、ほかにも100円クレープなどがあり、近所の子どもたちは駄菓子のレベルに収まらないものを気軽に食べることができてうらましい限りです。

駄菓子屋と同様に、駄菓子メーカーや駄菓子の種類もはっきりと減少している今の時代。オリジナル駄菓子を作るお店に巡り会えたのは、この上ない幸運でした。

高橋菓子舗 ※高の字は正確にはハシゴ高です

住所:北海道網走市つくしヶ丘4-6-6

電話:0152-43-0010

営業時間:9:00~19:00

定休日:不定休

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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