読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、今回の相談者は、32歳、会社員の男性。結婚1年ほど、生活費を出し合ったあとは別会計で生活しているそうですが、このままでよいのかお悩みとのこと。FPの飯田道子氏がお答えします。
結婚していますが子どもがおらず共働きなので、お互いが生活費を一定額出し合い、あとは全て各々が管理する独立した家計です。お互いの収入・貯金額・支出等はしっかりとは把握していません。
私は自分で資産形成をしているつもりですが、妻は興味がなさそうです。結婚して1年程度でして、これまでは別に気にしていなかったのですが、最近はお金を貯められるうちに協力してしっかり貯めた方が良いのではと感じております。
ただ、お金の使い方や将来への備えはそれぞれの価値観が出る部分でもあり、客観的な正解が無い問いなので、差し迫った問題が生じない限り、このままでも良いかと思っています。(今の所、お互い日々居心地が良い生活ができているため。)今後、住宅購入や子どもを考えてはいますが、妻も貯金がゼロであることは無いと思いますし、最悪自分のみでも備えはできるのかなと思っています。妻も仕事を辞めるつもりは無く、お互いが仕事をしてさえいれば、長期的にも大きな問題は無いかと思っております。その時その時で、家計負担割合などを柔軟に変更していけば、ずっとお互いが独立して家計を管理していく方法でも良いと思われますか。
【相談者プロフィール】
男性、32歳、会社員、既婚
同居家族について:妻、27歳:会社員
住居の形態:賃貸
毎月の世帯の手取り金額:45万円(私のみで)
年間の世帯の手取りボーナス額:200万円(私のみで)
毎月の世帯の支出の目安:25万円
【毎月の支出の内訳】
住居費:8万円(家賃補助を抜いた自己負担分)
食費:12万円(夫婦で行く外食費込)
水道光熱費:2万5,000円
保険料:それぞれが支払い(私は5,000円、妻のは不明)
通信費:2万5,000円
お小遣い:私が15万円、彼女が10万円出して、残りはお互いが管理
【資産状況】
毎月の貯蓄額:20~25万円
ボーナスからの年間貯蓄額:150万円
現在の貯蓄総額:1,600万円(私のみで)
現在の投資総額:400万円(私のみで)
現在の負債総額:0
飯田: 共働きで、お互いに独立してお金を管理し、生活費を出し合って暮らしている相談者様。お金は、貯められるうちに貯めておきたいと思い始めたものの、夫婦であっても、価値観の違いが生じることを考えると、今後も家計負担割合などを柔軟に変更していけば、このままで良いのか? と考えるようになったようです。
家計の管理方法は、家庭ごとに違って良い
FPの教科書的な回答になると、夫婦別々でお金を管理していると、無駄遣いがあったり、効率よくお金を貯められないため、お互いのお金の流れをガラス張りに、一括で管理した方が良いという回答になります。
でも、必ずしもそうではありません。ケースバイケースなのです。今のライフスタイルやお金のことを周囲の人に話すと、いろいろと言われるかもしれませんが、大切なのは、自分たちが望んでいる形であるのか、幸せであるのかということです。
相談者様は、お互いに居心地の良い生活を送れているとのことですので、無理にお金の管理方法を変えなくても良いと思います。相談者様は、優しい旦那様なのですね。うらやましい限りです。
ただし、何もかもを相手任せにして良いわけではありません。
イザという時の保障や補償について把握しておく
お互いに自分のお金を管理する場合であっても、イザというときには、どのように備えているのかを確認しておくことが必要です。具体的には、医療保険や生命保険、損害保険の加入状況などを相手に知らせておくことです。
可能であれば、保険証券などは一緒に管理し、万一のときには、相手のために動ける状態を作っておくと良いでしょう。もし、保険証券を預けるのに抵抗がある場合には、加入している保険会社名、どのようなタイプの保険に、どのような保障や補償が得られるようにしているのかの、データを共有してください。
将来について話し合っておく
現状は、相談者様がしっかりと貯蓄に励んでおり、相談者様がおっしゃるように、相談者様の預貯金だけで、備えられると思います。ただし、いつまでもこのペースで生活するわけではありませんよね?
既にお話をされているかもしれませんが、マイホーム購入や子どもをどうするのか、折を見ながら話し合っておくと良いですね。奥さまは働き続ける予定のようですので、ライフプランをしっかり立てておくことで、キャリアアップとプライベートの充実ができるようになりますよ。
また、具体的に「家」や「子ども」について話し合うことで、奥様から、家計について提案があるかもしれません。特に女性は、一時的にキャリアが停止する可能性があるので、事前に話し合っておくことで、お金だけでなく、どのように協力しあって行くのかもイメージしやすくなります。
あわせて、お金のすり合わせもしてください。
お金の価値観の一部分はすり合わせておく
すべてのお金の使い方や管理方法をすり合わせなくても良いのですが、マイホーム購入や子どもの教育費などは、すり合わせが必要な部分です。
相談者様は柔軟に対応していくとのことなので安心していますが、その他にも借金はしない(大丈夫だと思いますが)、一定額以上のモノを購入するときにはお互いに相談するなど、これだけはすり合わせておいた方が良いなと思うことがあれば、話し合ってみてください。
相談者様もおっしゃっていますが「お金の使い方や将来への備えはそれぞれの価値観が出る部分」です。お金に対する価値観のズレは、さまざまな価値観へのズレにつながってしまう可能性を秘めています。
無理にすり合わせる必要はありませんが、ときには歩み寄ることも必要です。
夫婦二人の幸せを追求する
幸せに対する価値観にも違いはあります。相談内容を拝見すると、相談者様は、奥様が幸せでいる姿を見ることが幸せなのかなと思いました。
お金の使い方、管理方法も大切ですが、それ以上に、二人にとって幸せでいる時間やコトに、たくさんふれていくことが必要ですし、大切なことです。
周りの意見やトレンドに振り回されることなく、これからも、相談者様ご夫婦ならではの、幸せを追求して欲しいと思います。
末永くお幸せに!