若者を省きつつ、若者を活かす。 〜データを使った全世代への政治啓発〜 NPO法人Mielka

こんにちは、NO YOUTH NO JAPANです!私たちは若い世代から参加型デモクラシーを根付かせるために、政治や社会について分かりやすく発信しています。

学生団体インタビューの連載では、日本で活動している学生団体にインタビューをし、活動に込められた思いや政治や社会へのメッセージを取り上げています。

今回は、関西圏から政治啓発活動を行っているNPO法人 Mielka (ミエルカ) さんにインタビューをしました。
Mielkaは「投票の量と質の向上」を目指し、若者の政治・選挙・投票への関心を高めること目的とし、シティズンシップ教育、政治情報可視化サイトの運営、政治と若者を近づけるイベントなどを開催しています。今回は、Mielkaの学生代表・池邊亮輔さんのお話を聞かせていただきました。

自分自身のポリシーを持って投票しよう

NO YOUTH NO JAPAN 和倉(以下、和倉):まず、Mielka の活動内容を簡単に教えてください。
Mielka 代表 池邊さん(以下、池邊):Mielkaでは大きく分けて3つの活動を行っています。1つ目は、ネットでの投票啓発です。noteに記事を掲載したり、JAPAN CHOICEという、投票の際に役に立つ情報を発信するサイトの運営、開発を、学生だけではなく多くの社会人の方々と共に協力しながら行っています。2つ目は、関西圏を中心に実際の教育機関である学校に行って、シティズンシップ教育を行うことです。3つ目には、Youtubeやイベントなどを通して、Mielkaの宣伝を行い、政治・選挙に対する関心を高める活動があります。

和倉:Mielkaは何がきっかけで設立されたのでしょうか?
池邊:Mielkaの前身であるivote関西が東京のNPO法人ivoteの協力を得て設立されたのは2014年で、そこから2016年にMielkaという現在の名前に名称変更されました。当時はちょうど日本の選挙権獲得年齢が18歳に引き下げられた頃で、SEALDSに代表されるような若者による政治団体の活動も盛り上がりを見せるなど、若者の選挙に対する関心が高まっていた時期でした。全国的な関心の広まりに応じて、関西圏でも若者に政治を啓発する団体の必要性を感じ、ivote関西やその後のMielkaの誕生につながりました。

和倉:ivoteとMielkaは、どのような違いがありますか?
池邊:活動内容に大きな違いはありませんが、ivoteさんが若者への政治啓発活動を中心にしているのに対し、Mielkaは若者のみに政治参加を促進するより、全世代を対象にした方がいいと考えています。全世代型の政治に関する情報発信を主軸に、情報を可視化、「見える化」するという意味のMielka(ミエルカ)が生まれました。

和倉:去年、日本最大級の政策コンテスト「第14回マニフェスト大賞」で優秀コミュニケーション戦略賞を受賞されたMielkaの投票情報発信サイト「JAPAN CHOICE」について教えてください。
池邊:Mielkaが運営している、特定の質問に答えると自分にあった投票先を紹介してくれるツールである「投票ナビ」が掲載されたウェブサイトです。サイトで有権者とのコミュニケーションを測ることができる点を評価していただき、賞をいただきました。

和倉:現在の活動は、コロナの感染拡大によってどのように変化していますか。
池邊:様々な学校で、教育事業が休止されています。また、オンライン以外のイベントは全て中止したので、大阪都構想に関する企画は様々な関西の政治系学生団体と協力し、オンラインでの実施を考えています。

和倉:今後はどのような活動を企画していますか。
池邊:コロナの感染拡大の中、できることは大きく分けて二つあります。一つ目は、衆議院選挙に向けて新たなJAPAN CHOICE をリリースすることです。二つ目は、関西の団体として、大阪都構想に力を入れて、有権者の方に様々な情報を提供したいということです。

和倉:団体として、10代・20代の若者へのメッセージをお願いします。
池邊:選挙で候補者を選ぶときに一番大切なのは、自分自身のポリシーを持って投票することです。つまり「なぜその人に投票したの?」という質問に、しっかりと自分の意見で答えられることが重要です。また、政治は「遠い」「よく分からない」と言われがちですが、実は結構身近な存在です。イデオロギーに頼るだけではなく、候補者が主張する具体的な政策に注目して欲しいと思います。政治について気になることを検索するだけでも、政治に興味を持つ良いきっかけになると思っています。

データが中立性への鍵

NO YOUTH NO JAPAN 宮坂(以下、宮坂):団体として「中立公平」を掲げられていますが、メンバー個人の政治思想や政治に対するスタンスが異なる時はありますか?また、その場合は、どのように会話することを意識しているのでしょう?
池邊:メンバー同士でスタンスが異なることはよくあります。右左が多い中、消極的中立性を意識するようにしています。共通の活動している時は個人の意見はあまり表に出さないように気をつけるといった感じですかね。

宮坂:Mielkaはメディア発信でデータを頻繁に使っていることから、数字に強い印象を受けました。メンバーの中で、理系学部に所属している学生は多いのでしょうか?
池邊:メンバーの3分の1くらいが理系学部に所属しています!プログラミング技能を持っている学生も所属しているので、データを使った発信が強みです。また、JAPAN CHOICEでは現役の弁護士や新聞記者など様々な方にも携わっていただいています。中立性を保つためには、数字など、個人の意見が入らないデータを使うことが効果的だと感じています。

若いうちから、有権者として政治に関心を持って欲しい

宮坂:Mielkaの教育事業である「シティズンシップ教育」では、実際生徒達からはどのような反応がありますか?
池邊:生徒の反応は学校の校風や偏差値帯などによって異なります。全員にいい反応をされることはないので、一人や二人でも関心を持ってくれる人がいたらという思いで事業を行っています。

宮坂:このような教育事業をされている中でも、いまだに若者の投票率が上がらないのはなぜだと考えますか?
池邊政治に対して不満がないからだと思います。学校で模擬選挙をすると与党側の意見が勝つことが多いです。もし不満があれば、逆に野党が勝つはずなので、生徒達の中で、まだまだ政治に対して思うことがあまりないのではと考えられます。

政治を語れる仲間がいること

和倉:Mielkaで活動する際に気をつけていることはありますか?
池邊:Mielkaは「若者のために活動している」団体だとメディアにアピールをしていますが、高齢者と若者の世代間対立についてはよく思っていません。そのため、若者を省きつつ、若者を活かす、つまり、全世代に対して政治を啓発するアプローチをするように気をつけています。

和倉:池邊さん自身がMielka の活動で一番楽しいと感じることは何ですか?
池邊政治を語れる仲間がいることです!「居酒屋では政治と宗教は話すな」とよく聞きますが、食事をするときに政治について話せる仲間に出会えたことが嬉しいです。

和倉:将来政治に関する職業に就きたいと考えていますか?
池邊:実は第一志望は政治家ではありません。将来的に政治には関わりたいですが、やりたいことはたくさんあるので、まだ検討中です。


若者だけではなく、全世代の有権者が政治に関心を持つことが大切だと分かりましたね。大阪都構想の住民投票に向けても、Mielkaの今後の活動に注目です!

NO YOUTH NO JAPANでは、これからも様々な入り口から政治と若者をつなげていく活動をしていきます。

池邊亮輔
同志社大学神学部2回生。Mielkaの現学生代表として、YouTubeやTwitterへの投稿、イベントの運営などを行っている。

参考資料
Mielka 公式ツイッター

「世界一大きな授業」公式ホームページ

連絡先
E-mail: noyouth.nojapan(a)gmail.com ((a)を@に)
Instagram: noyouth_nojapan
Twitter: noyouth_nojapan

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