「ロマンある」「観光活用を」長崎県庁跡の石垣遺構  説明会に市民ら480人

多くの市民が集まった県庁跡地の石垣遺構に関する現地説明会=長崎市江戸町

 長崎県教委は12日、長崎市江戸町の県庁跡地で進めている埋蔵文化財調査に伴い約70年ぶりに全容を現した大型の石垣遺構に関する現地説明会を開いた。市民ら約480人が参加し、観光活用を求める声が聞かれた。
 県庁跡地は、16世紀の長崎開港後にキリスト教の国内拠点「岬の教会」、江戸初期の禁教令後は長崎奉行所西役所などが置かれた。
 県教委によると、石垣は長さ約60メートル、高さ6~7メートル。最下部は江戸初期の1610年代に積まれた可能性が高い。他はさまざまな素材や形の石が混在し、長年にわたり補修や積み替えが繰り返されたという。
 周辺の発掘調査を経て、石垣は保存のため10月にいったん埋め戻す。県は石垣の将来的な取り扱いを含め県庁跡地活用に関する基本構想づくりを進めている。
 現地説明会で県教委学芸文化課の担当者が、調査や石垣の概要を説明。瓦や陶磁器など出土品の展示もあった。長崎市小江原3丁目の会社員、軍司敏朗さん(56)は「ロマンを感じる。岬の教会の話も聞きたかった。長崎は観光、観光というが、現物はなく記念碑だけのケースもある。石垣はぜひ一般公開してほしい」と語った。

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