アニメ、映画の世界へ 長崎 ロケ地歩き“小旅行”の勧め

「色づく世界の明日から」「奈緒子」「悪人」…

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映画「悪人」などのロケ地になった唐人屋敷の中通り=長崎市館内町

 新型コロナウイルス禍の中、旅行を控えている人は少なくないだろう。でもどこかに出掛けてリフレッシュしたい-。そんな人は身近にある映画の中への“小旅行”を楽しんでみては。映像作品のロケ支援などを行う長崎県フィルムコミッションがこのほど作製した「県ロケ地ガイド」などをもとに、名所巡りとはひと味違う長崎の街歩きに出掛けた。
 ロケ地ガイドの一部は、県観光ポータルサイト「ながさき旅ネット」にモデルコースが紹介されている。アクセス数が多いのが2018年のアニメ「色づく世界の明日から」。主人公が暮らす舞台は長崎市がモデル。見慣れた坂の街が美しい映像で再現されている。
 大浦展望公園(相生町)では主人公が座ったベンチから東山手一帯を見渡せる。そこに一人たたずむ男性がいた。「坂に沿って家が建ち異国感もある。自分の地元にこんな風景はない」。岐阜市の会社員、総山育督さん(45)は「色づく-」を見て、昨年初めて長崎を訪れた。街に魅了されて3度目の来崎。「作品がいいきっかけになった」。
 長崎電気軌道石橋電停周辺は08年の映画「奈緒子」で登場。長崎県高校駅伝の場面で、主人公の三浦春馬さんとライバル役の綾野剛さんが、電車と並走しデッドヒートを繰り広げた。
 「建物が肩を寄せ合う昭和の雰囲気は別世界」。1986年に始まった長崎ウーマンズ・ウォークラリーの実行委員長、竹中晴美さん(71)のお勧めは、唐人屋敷の中通り(館内町)。2010年の映画「悪人」で樹木希林さん演じる主人公の祖母が訪れるなど、ロケ地になることが多い。近くで鮮魚店を営む浜田泰裕さん(64)は「ロケがあると、近所の人が見に来てにぎわうよ。でも『この雰囲気いいね』って感動するのは県外客ばかり」と苦笑いする。
 同コミッションの横山亜津子さん(34)によると、映像製作側が好むのは、意外と路地裏や坂。「観光客が少なくて撮影しやすいのもあるけど、何でもない道のほうがいい味が出る」という。竹中さんは「長崎の人のほうが街並みの良さに気付いてない。まず一人で歩いて探してみて。見つけたら人に伝えたくなるから」。コロナ禍の今こそ、身近な街歩きを勧める。
 東山手町の海星高に続く「ばってん坂」に向かった。段差が分かるよう塗られたペンキ、途中にある休憩用のベンチ…。地域の優しさがにじむ坂は、16年のドラマ「モンタージュ~三億円奇譚(きたん)~」で、主演の福士蒼汰さんが歩いた夜道のシーンで登場した。
 その近くの海星高と活水女子大の間にあるれんが塀の細い坂を女子高生たちが帰っていた。遠くに海が見え、坂の途中には猫。ロケ地になったことはないそうだが、彼女たちがこっそり教えてくれた。「ジブリの映画っぽいでしょ」

アニメの舞台になった大浦展望公園=長崎市相生町