FIA-F2第9戦イタリア レース1:大荒れの終盤戦をマゼピンが制し2勝目。角田はランキング6番手に後退

 9月12日(土)、2020年FIA-F2第9戦イタリアのフィーチャーレース(決勝レース1)がムジェロ・サーキットで開催され、ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)が今季2度目の優勝。日本の松下信治(MPモータースポーツ)は11位、佐藤万璃音(トライデント)は14位、角田裕毅(カーリン)は16位だった。

 気温29.6度、路面温度42.3度。空は薄雲り、路面はドライコンディションだ。規定周回数は33周、タイヤ交換を伴う1回のピットインが義務付けられ、ソフトとハードタイヤが選択されている。

 スターティンググリッドはポールポジションがルンガー、2番手にダニエル・ティクトゥム(ダムス)、3番手にカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、4番手にマーカス・アームストロング(ARTグランプリ)の順となり、この4台はソフトタイヤを履く。角田は11番手、佐藤は17番手、松下は21番手から上位を狙う。

 そして日本時間の23時45分にフォーメーションラップが開始され、フィーチャーレースがスタート。ルンガーを先頭に後方はスリーワイドからフォーワイドになりながら1コーナーへ突入、大きなアクシデントなく1周目を完了した。

 上位勢ではアイロットが7番手まで後退し、ソフトタイヤスタートの角田は9番手までポジションアップに成功。4周目に角田はチームメイトのユアン・ダルバラを交わし8番手まで浮上する。

 ソフトタイヤスタート勢のペースが落ち始めた6周目、チームからルンガーへ「最低でもあと2周」と無線が飛び、2番手ティクトゥムの差が0.6秒に。後方では角田がジャック・エイトケン(カンポス・レーシング)を交わして7番手へ。

 8周目にルンガーが先陣を切ってピットイン。迅速に作業を終え暫定20番手でコースに復帰した。

 その頃トップを争うギオットが1コーナーのブレーキングでティクトゥムのインを差し首位へ浮上。ギオットは10周目にがピットインしタイヤを交換する。

 11周目には角田を含むソフトタイヤでスタートしたほぼすべてのマシンがピットイン。実質的な首位争いは暫定12番手のルンガーを先頭にティクトゥム、アイロット、ギオット、アームストロング、角田という順で中盤戦に突入していく。

 タイヤ交換後に好調なペースを見せるのはギオット。12周目にはアイロットをパスし次の周にはティクトゥムを抜き去った。

 各所でバトルは続き15周目にはアイロットがティクトゥムをホームストレートエンドで抜き、角田がアームストロングの前に出る。18周目、ペースに悩んでいたシリーズランキング3番手のロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)がトラブルを抱えたようでマシンをエスケープに止め、リタイアとなった。

 ここからレースが動き出す。20周目に暫定3、4番手を走行していた周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)とミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)がピットイン。ハードスタート勢がタイヤ交換をスタートする。

 21周目には暫定トップのニキータ・マゼピン(ハイテックGP)がピットインし、ルンガーが見た目上のトップに戻り以下ギオット、ティクトゥム、そしてアイロットを交わした角田という順で終盤戦へと進んでいく。

 興奮が高まりつつあった矢先の23周目にジュリアーノ・アレジ(BWT HWAレースラボ)のマシンから白煙が立ち上がり、タイヤバリア付近にマシンを退避させここで脱落。

 またもF2マシンの信頼性問題がチームを悩ませる。これによりVSC(バーチャルセーフティカー)が導入されるもマシン回収に時間を要し、24周目にはSC(セーフティカー)に切り替えられる。

 後方ではこのタイミングでタイヤ交換を行うドライバーも現れ、レースの結果は最後まで分からなくなった。

 SCは26周目終了のタイミングで解除され27周目からレースを再開。ルンガーがトップを守るも後方では1コーナーでインを取った角田の外からティクトゥムが大外刈りを狙いインにマシンを寄せる。しかし角田の左フロントタイヤと接触しコースアウト。

 後方でも接触が多発し周とエイトケンがマシンを止め、すぐに2度目のSCランとなる。この時点で順位はルンガー、ギオット、マゼピン、角田という隊列に。

 SCは30周目に終了となり、レースは残り3周の31周目にふたたび再開される。

 このリスタートを勝ち取ったのはマゼピンで一気に首位へ躍り出る。対照的にルンガーはペースが伸びず32周目には5番手までドロップ。3番手にはフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)が浮上。また角田も後続から攻められ、接触も見られながら順位を徐々に下げてしまった。

 ファイナルラップでもバトルは続きルイ・デレトラズ(チャロウズ・レーシング・システム)がドルゴヴィッチを交わし3番手へ。大荒れのレースは14番手スタートのマゼピンがトップチェッカーで今季2勝目。2位にはギオット、3位にはデレトラズが入った。

 角田は8番手フィニッシュも接触により5秒加算ペナルティが課され16位となった。松下は11位、佐藤は14位でレースを終えている。

 ポイントランキングは首位にミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)が浮上し153ポイント、2番手に149ポイントのアイロット、3番手に140ポイントのシュワルツマン、4番手に128ポイントのルンガーがつけている。また123ポイントの角田はランキング6番手にドロップした。

 スプリントレース(決勝レース2)は、9月13日(日)の18:10にスタートする。

■FIA-F2第9戦イタリア フィーチャーレース(レース1) 暫定リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 24 N.マゼピン ハイテックGP 33Laps

2 25 L.ギオット ハイテックGP 4.460

3 11 L.デレトラズ チャロウズ・レーシング・システム 4.519

4 15 F.ドルゴヴィッチ MPモータースポーツ 4.860

5 20 M.シューマッハー プレマ・レーシング 5.374

6 6 C.ルンガー ARTグランプリ 7.825

7 1 J.ビップス ダムス 8.353

8 16 A.マルケロフ BWT HWAレースラボ 10.172

9 5 M.アームストロング ARTグランプリ 10.434

10 8 J.ダルバラ カーリン 10.663

11 14 松下信治 MPモータースポーツ 11.100

12 4 C.アイロット ユニ・ヴィルトゥオーシ 11.747

13 12 P.ピケ チャロウズ・レーシング・システム 11.757

14 23 佐藤万璃音 トライデント 12.428

15 22 R.ニッサニー トライデント 13.588

16 7 角田裕毅 カーリン 14.112

17 2 D.ティクトゥム ダムス 15.959

18 10 G.サマイア カンポス・レーシング 52.196

— 9 J.エイトケン カンポス・レーシング DNF

— 3 周冠宇 ユニ・ヴィルトゥオーシ DNF

— 17 G.アレジ BWT HWAレースラボ DNF

— 21 R.シュワルツマン プレマ・レーシング DNF

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