こう着した展開を抜け出せず下位に沈んだ佐藤琢磨「決勝に向けたものが結果に繋がらなかった」

 従来8月8~9日に予定されていたNTTインディカー・シリーズのミド・オハイオ戦は、開催日1週間前に延期が発表される急展開だったが、州からの許可も出て9月12~13日で開催されることになった。観客動員も6000人までに制限されている。

 レースもダブルヘッダーとなり、土曜日にプラクティスとレース1の予選と決勝、日曜日にレース2の予選、決勝というかたちとなった。

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、インディ500優勝の後、ワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイのレース1で2位、レース2でポールポジションから9位と、勢いのまま安定した結果を残しており、ロードコースに戻ったこのミド・オハイオで、どんなレースをするか期待された。

 琢磨自身のミド・オハイオでの過去最高位は4位でまだ表彰台はない。

 土曜日午前のプラクティスは、いつもより長い75分間だったが、琢磨のタイムは伸び悩み17番手だった。

 予選はプラクティスの結果で2グループに分かれ、12分間の予選一発勝負。琢磨はグループ2でのアタックとなったが、ブラックタイヤを履いて2番手のタイムを出していたものの、ピットに戻ってくるのがいちばん遅く、レッドタイヤに替えてコースに戻るのが最後となってしまった。

 ライバル勢はレッドタイヤで2周はタイムアタックできたものの、琢磨は2周目のアタックに入ろうとしたところでチェッカーとなってしまい、最後のフライングラップを逃す形となってしまう。

ミド・オハイオ・スポーツカー・コースを走行する佐藤琢磨
予選アタックに向け準備する琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング

 総じてレッドタイヤでも2周目の方がタイムアップしているケースが多く、琢磨が1分7秒8192にとどまっているのに対し、クラストップのライアン・ハンター-レイが1分6秒7287をマークしていることを考えると、この予選の失敗は大きかった。グループ9番手、総合で18番手からのスタートを迎えることになった。

 結果的にオーバーテイクポイントの少ないミド・オハイオでは、やはり18番手のスタートポジションは大きな足枷となってしまう。レースがスタートするとWWTRで因縁のザック・ビーチらとポジション争いするものの、17~19番手の間でポジションがこう着した。

 燃料を上手に使う琢磨ならば、ブラックタイヤを履いて、ライバルがピットに入ったところでステイアウトしてポジションアップ……というのが理想的な形だろうが、今日の琢磨は早めに仕掛け17周目でピットに入る先手を打った。

 だがポジションを大きくゲインするには至らず、自力でビーチは抜いて17番手を守った。レッドタイヤに変わったがポジションは依然変わらずで、46周目に2度目のピットインを行い、再びレッドを履いた。

ビーチを交わし走行する佐藤琢磨

 しかし、75周のレースも大きなアクシデント、イエローコーションもなく、琢磨に追い風は吹かずこう着した状態を抜け出ることはできなかった。チェッカーを17位のまま受ける。

 レース残り5周あたりで気まぐれな雨がパラパラと落ちてきたが、レース展開を変えることはなかった。いっそのこと大雨になっていたら、琢磨のレース展開を味方していただろうか?

 RLLRのチームメイト、グラハム・レイホールは8番手スタートから表彰台争いをして、4位でフィニッシュしている。琢磨も予選でグラハムと同等のタイムが出せたであろうと思うと、やはり予選での失敗が最後まで尾を引くかたちとなってしまった。もちろんクルマのハンドリングも満足のいくものではなかったろう。

「今日は本当にタフなレースでした。決勝に向けてかなりいろいろなことをしたのですが、それが結果に繋がらなかったのが悔しいですし、イエローコーションもまったく出ずに、流れが変わりませんでした」

「今日は暑くて少し体重も減ったかな。クルマも僕も今夜は鋭気を養って、明日のレースに備えたいですね」

 日曜日は朝いちばんで予選となり、その後レースを迎える。まずはこの予選で琢磨がどのいちに着けているかが、肝になるだろう。

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