「八代のスーパーボランティア」79歳・田中さん 熊本豪雨被災地で連日作業

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被災家屋の片付けを手伝う田中文雄さん。頭に巻いた黒いタオルがトレードマークだ=12日、八代市坂本町

 7月の豪雨で大きな被害を受けた熊本県八代市坂本町で、「八代のスーパーボランティア」と呼ばれる男性がいる。同市本野町の田中文雄さん(79)。連日のように支援に加わっては若い頃から培った体力を発揮し、被災者たちを励ましている。

 坂本町の被災者を支援する市災害ボランティアセンターは7月15日の開設から今月12日までに、台風接近時などを除きボランティアを49日派遣。田中さんの活動日数は41日に上り、同センターは「最多の参加者ではないか」とみている。

 20代の頃から解体業に従事して体を動かしてきた田中さんは、今も現役。最初は「近いから行ってみようかな」という気持ちでボランティアに加わった。12日は坂本町坊ノ木場地区の民家の庭先に積もった土砂をスコップで除去し、土のうを一輪車に載せて50メートル先の仮置き場まで運んだ。

 一緒に活動した合志市の会社員丸野真一さん(57)は「今後もボランティア活動が続けられるよう、体力を維持せなんと思った」と脱帽。ほかの参加者も「すごか」「足元にも及ばん」と感嘆の声を上げていた。

 本家本元の「スーパーボランティア」は、全国の被災地に足を運ぶ大分県日出町の尾畠春夫さん(80)。同世代で黙々と作業を続ける姿が似ているためか、田中さんはいつしか「八代のスーパーボランティア」と呼ばれるようになった。

 妻の征貴子さん(77)は田中さんの体を気遣い、「たいがいにしときなっせよ」と心配しているそうだが、本人は「暑さには強いもんでね。タフなんですよ」と涼しげな様子。ただ、15分活動して5分休むことや水分補給などの自己防衛は徹底してきた。

 豪雨災害から2カ月以上たっても、ボランティアを必要とする被災者は多い。「乗りかかった船だけん、センターの閉鎖まで参加させてもらおうかね」。田中さんが、黒く日焼けした顔をほころばせた。(元村彩)