村上春樹が選曲「5分で聴けるクラシック音楽」を自身のラジオ番組で紹介

©ジグノシステムジャパン株式会社

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。9月13日(日)の放送は「村上RADIO~5分で聴けちゃうクラシック音楽」と題して、リスナーからの要望も多かったクラシック音楽を村上さん流にフィーチャーしてお送りしました。変わった楽器による演奏曲や、思春期から村上さんが愛聴してきた曲、小説に登場した印象的な曲などを放送しました。この記事では、前半3曲についてお話しされた概要を紹介します。

◆「ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ホ長調 L.23」アルド・チッコリーニ
こんばんは。村上春樹です。村上RADIO、今日のプログラムは「5分で聴けちゃうクラシック音楽」です。クラシック音楽っていうと、長くて重々しいという印象をお持ちの方も多いかと思いますが、うちにある音楽ソフトのなかから、コンパクトだけど内容は素敵だ、興味深いという作品を集めてみました。

実を言いますと、“クラシック音楽を取り上げてくれ”と言うリスナーのみなさんからの要望が、これまでけっこう多かったんです。ただ、時間の関係で長い曲はかけられませんので、今日お届けするのは、ほぼ5分以内で終わる曲ばかりです。皆さんのよくご存じの曲もかかりますし、こんなの聴いたことないという曲もかかると思います。これ、選曲するのはとても楽しかったです。

◆「ヘンデル『王宮の花火の音楽』よりメヌエット」The New Koto Ensemble Of Tokyo
お琴の合奏でバロック音楽を演奏するというと、なんかキワモノっぽく聞こえますが、実際に聴いてみると、とてもチャーミングです。素敵な音楽になっています。The New Koto Ensemble Of Tokyoというグループの演奏で、指揮は福村芳一さん。このアルバムでは、ヴィヴァルディとヘンデルを演奏していますが、今日はヘンデルの「王宮の花火の音楽」より「メヌエット」を聴いてください。できることなら、これを作曲者に聴かせてあげたかったという気がします。ヘンデルさん、どう言うでしょうね?
      
◆「若い象のためのサーカス・ポルカ」Igor Stravinsky
ストラヴィンスキーの「若い象のためのサーカス・ポルカ」です。ストラヴィンスキー自身がオーケストラを指揮しています。この曲はタイトルのとおり、象の踊りのために書かれた曲です。もちろん、象がストラヴィンスキーさんに作曲を依頼したわけではなく、あるサーカス団が依頼したんですが、いずれにせよ、象のために書かれた音楽って他にはまずありません。珍品っていうか、とてもユニークな作品です。1942年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで初演され、ピンクのチュチュをまとった50頭の象によって踊られたそうです。これはぜひ観てみたかったですね。最後の方で、シューベルトの有名なメロディーが引用されます。

◆「リスト『巡礼の年』ノスタルジア」Lazar Berman
次は、僕の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」という小説のなかで、けっこう重要な役をつとめた曲です。フランツ・リストの「巡礼の年」から「Le Mal du Pays(ル・マル・デュ・ペイ)」。“ノスタルジア”と訳されていますが、「田園の憂愁」みたいな感じかな。僕が昔から好きだった曲で、小説を書いているときに、狂言回しみたいな役をつとめるピアノ曲がひとつ必要になったので、“何にしようかな”とあれこれ考えた末に、これを選びました。とても美しい曲です。いろんな人の演奏で聴いたけど、このラザール・ベルマンの演奏が個人的にはいちばん好きです。リストというと、“超絶技巧”みたいな印象がありますが、この曲はそういう派手な技巧を排して、ただただ静かな内省に沈みこんでいきます。


▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限:2020年9月21日(月)AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。


<番組概要>
番組名:村上RADIO~5分で聴けちゃうクラシック音楽~
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:9月13日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/