富士通とトヨタシステムズ、量子コンピュータ利用で物流効率化を検証

富士通とトヨタシステムズが10日、量子コンピューティング技術「デジタルアニーラ」を使った実証実験の結果を発表した。

「デジタルアニーラ」は富士通が開発した量子コンピューティング技術である。トヨタシステムズはITソリューション企業として2019年1月に設立。設立以前の2018年から量子コンピューティングの活用について富士通と研究を行っている。

今回の実証では、自動車製造に必要な部品の物流ネットワークを最適化について検証した。仕入れ先から部品を仕入れ、中継倉庫を通り、組み立て工場へ配送する300万以上のルート候補に対して、「デジタルアニーラ」で物流コストの最適化計算を行った。この最適化には、トラックの台数、総走行距離、仕分け作業なども含まれている。

なお、全体の物流コストが削減できる新たなルートの計算は30分以内に完了した。計算結果をもとにシミュレーションしたところ、約2~5%のコスト削減効果が見込まれたと発表している。

今回の実証には、2018年に富士通が開発した大規模問題求解技術に加えて、大域的探索技術と動的多点探索技術という新たな2つの技術を適用した。

「デジタルアニーラ」の新たな求解技術

今回の成果をもとに、「デジタルアニーラ」を自動車製造に関わる実際の物流ルート計算に適用することを目指し、さらなる検証と実用化を進めていくと両社は述べている。また富士通は、「デジタルアニーラクラウドサービス」を2020年のうちにサービス提供を開始し、さまざまな業種・業務領域への適用拡大を目指すとしている。

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