インディカー第11戦ミド・オハイオ:ハータ完勝でアンドレッティ勢が表彰台独占。琢磨は厳しいレースに

 前日に引き続き、NTTインディカー・シリーズ第11戦がミド・オハイオ・スポーツカー・コースで13日に開催。ポールポジションからスタートしたコルトン・ハータ(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)が今季初勝利を挙げた。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、ストラテジーを変更するも展開は味方せず、18位でレースを終えた。

 ミド・オハイオでのダブルヘッダー2戦目は、1戦目とまったく違うレースになった。

 予選がウエットタイヤで争われることになり、勇敢なドライビングで若手が大挙して上位グリッドを獲得した。

 ポールポジションはコルトン・ハータ(のものとなり、予選2番手はサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリバン)、予選4番手はアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チームゴウ)、予選5番手はフェリックス・ローセンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)という具合だ。

 逆に、レース1でポール・トゥ・ウインを飾ったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は予選開始早々にスピンして赤旗を出し、レース2のスタートは17番手という後方グリッドから切らねばならなくなった。

 レースのスタートは快晴、ドライコンディションだった。そして、グリーンフラッグ直後に若手3人が優勝争いから脱落した。

 ハータと競ったフェルッチが右コーナーでコースオフし、次の左コーナーでコースに戻ってきて、パロウとローゼンクヴィストにヒットしたのだ。

フェルッチにヒットされコースオフするフェリックス・ローゼンクヴィスト

 PPからトップを守ったハータは、予選3番手から2番手に浮上してきたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に接近を許さなかった。

 すると、ディクソンがスピンでまさかの自滅。その後にハータの背後に迫ったのはチームの先輩、ライアン・ハンター-レイとアレクサンダー・ロッシだった。

 しかし、彼はふたりに攻撃のチャンスをとうとう最後まで与なかった。相手はブラック、自分はレッドという状況下、タイヤマネジメントをしながら、先輩たちにアタック可能な距離まで近づけさせなかった。

 闇雲に逃げるのではなく、タイヤをできる限り持たせる走りと、後続とのギャップのキープを両立させていたのだ。

「うれしい。今年は開幕からマシンが速かったのに、何かが起こって結果が出せなかった。今日は何もかもがうまく行った」とハータは喜んでいた。

 まだ20歳。持ち前のスピードがあることはルーキーイヤーに証明済みで、これがキャリア3勝目。その上にスマートさも身につけたとしたら、今後は優勝回数を更に増やしていくことになる。

勝利を喜ぶコルトン・ハータ

 地元パワーでグラハム・レイホール(レイホールhお)は2レースとも4位フィニッシュ。それも、今日の2レース目では12番手スタートから表彰台にあと一歩まで迫った。

 それとは対照的に、佐藤琢磨はすべてが逆回りしているかのようだった。

 1日目の予選は3周目にベストの出るタイヤなのに2周アタックしたところで時間切れ。

 レース2の予選ではタイヤの内圧設定などが違っていたらしく、ウエットが得意の琢磨が最下位だった。

 序盤にイエローが2回出たレース2では作戦を駆使して上位へと進出することを目指したが、展開が味方してくれずに、前日の17位に続き、18位フィニッシュと厳しいダブルヘッダーとなり、ポイントスタンディングもランキング4位から7位に後退した。

タイヤ交換を行う佐藤琢磨。ラップリードを記録するも展開は味方しなかった

「レイホールとマシンはほぼ同じですが、自分にとっては好みのものになっていないのか、もっと速くしたかったと感じましたね」と琢磨はダブルヘッダーを振り返った。

「今日のレースではトップに立って、後続を5秒もリードできましたから、決して悪いマシンではなかったとは思いますが、まだ(勝つためにはスピードが)足りていなかったと思います」と琢磨。

 残り3レースは、ロードコース2戦とストリート1戦。琢磨のもうひと暴れが期待される。最終戦セントピーターズバーグは得意としているので、ダブルヘッダーの行われるインディのロードコースでこれまで以上のスピードを発揮してもらいたい。

 ディクソンは手痛いミスを冒したが、凄まじい追い上げで10位フィニッシュ。これができるのは彼ぐらいで、チャンピオン争いでのダメージを最小限に押さえた。

 ランキング2位のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は、昨日は2位フィニッシュしたが、今日は8位がやっと。ディクソンのふたつ前のポジションで、2戦続けてポイントを大きく縮めることはできなかった。

表彰台を逃したが2戦連続4位を獲得したグラハム・レイホール
ポジションを争うロッシとディクソン

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