富田組アウディ、予選失敗も決勝で巻き返し連続入賞/GTWCヨーロッパ第4戦マニクール

 ヨーロッパ各国を転戦するGT3カテゴリーの最高峰のひとつ、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの2020年シーズン第4戦が9月12~13日、フランスのマニクール・サーキットで行われ、HRT(ハウプト・レーシング・チーム)の4号車メルセデスAMG GT3(ルカ・ストルツ/マーロ・エンゲル組)が13日のレース1ウイナーに。翌日実施のレース2では、サンテロック・レーシングの26号車アウディR8 LMS(スティーブン・パレット/シモン・ガシェ組)が勝利を飾った。ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTから同シリーズに参戦している富田竜一郎(31号車アウディR8 LMS)はレース1を5位、レース2を6位で終えている。

 新型コロナウイルスの影響でシーズンカレンダーが大きく変更された2020年シーズンのGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ。先週、第3戦ニュルブルクリンク6時間を終えたシリーズは、9月の連戦となる第4戦マニクールを迎えた。

 今戦はシリーズのなかで分かれるスプリントカップとエンデュランスの前者で、日本から参戦している富田は、このスプリント戦において“強豪”チームWRTのアウディをドライブしている。
 
 その富田にとって今回は、デビュー戦でいきなりのポディウム獲得を果たした第2戦ミサノ以来のレースとなったが、僚友ケルビン・バン・デル・リンデとシェアする31号車アウディは、フリープラクティスで7番手タイムを記録する上々の立ち上がりをみせる。
 
 10番手で終えたプレ予選を経て迎えた予選Q1は富田がアタックを担当。上位での予選通過が期待されたものの、アタック中にミスがあり順位は13番手と振るわず。ナイトレースとなったレース1には6列目から挑むこととなった。

マニクールでのレース1 スタート前グリッド

 
 迎えた決勝レース1、富田が前半スティントを担当した31号車アウディは順調にスタートを切ったが、オープニングラップのヘアピンでマルチクラッシュが発生。富田はこれを辛くも回避するも、順位を15番手まで落としてしまう。
 
 しかし31号車アウディはその後、次々に先行車を交していき、2コーナーでスタックした車両を回収するためにフルコールイエローが出されたスタート18分後までに、12番手までポジションを回復。富田の追い上げはリスタート後も続き、最終的には10番手でチームメイトにバトンを繋いでいる。

 後半担当のバン・デル・リンデも富田の力走に応えるように追い上げをみせ、前を走るライバルを1台、2台と攻略していく。最終的には3位を争うグループのなかで6番手でチェッカーを受けた。なおレース後、5番手でフィニッシュしたサンテロック・レーシングの25号車アウディR8 LMSに20秒のタイム加算ペナルティが出たことで、31号車は5位に繰り上がっている。

■前戦ミサノから5戦連続入賞

 レースはポールポジションからスタートした4号車メルセデスが独走優勝。この新型メルセデスは途中、セーフティカーが導入されたのにも関わらず、後続に10秒以上のマージンを築いて余裕のポール・トゥ・ウインを飾った。

 2位は32号車アウディR8 LMS(ベルジャン・アウディクラブ・チーム)の追い上げを僅差で振り切ったWRTエミール・フレイ・レーシングの14号車ランボルギーニ・ウラカンGT3となり、以降3位以下6位までをアウディ勢が固めるリザルトとなっている。

ナイトレースとなったレース1で優勝したHRTの4号車メルセデスAMG GT3

 13日の昼間に行われたレース2は、シルバーカップにエントリーしているサンテロックの26号車アウディがポールから好スタートを切ると、AKKA ASPの88号車メルセデスAMGやレース1勝者の4号車メルセデスを従え、スタート直後のアクシデントでセーフティカーが入った前半戦をリードしていく。

 各車のピットイン後、その26号車アウディを88号車メルセデスが逆転しトップに浮上する。しかし直後、88号車を駆るティムール・ボグスラフスキが2コーナーで痛恨のコースアウトを喫し26号車が再逆転に成功する。
 
 トップの座を奪い返したアウディはそのまま快走を続け、60分レースのトップチェッカーを受けた。88号車メルセデスは8.2秒差の2位。3位には3番手からスタートした4号車メルセデスが入っている。
 
 富田組31号車アウディは8番手からスタートするも、またしてもレース開始直後のアクシデントの影響を受けてポジションダウンを余儀なくされ11番手となってしまう。しかし、前半担当のバン・デル・リンデがピットインまでにポジションを4つ上げて戻ってくると、ピットイン後には6番手となった。
 
 チームメイトからステアリングを受け継いだ富田もこの順位を守り抜き、トップから12秒差の6位でフィニッシュ。5レース連続で入賞を果たすとともに選手権ランキングでは5位につけている。
 
 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの次戦・第5戦ザントフールトは9月25~27日に行われる。F1開催に向けて回収が行われたオランダでの戦いは、ふたたびスプリントカップの1戦として行われ、27日に2回の60分レースが予定されている。

2020年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第4戦 スプリントカップ第2戦マニクール・レース2のスタートシーン
レース2を制したサンテロック・レーシングの26号車アウディR8 LMS

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