生徒が発案、被災した熊本の中学校を支援 相模原・田名中

メッセージを書いたしおりを作る生徒たち=相模原市立田名中学校

 7月の豪雨で浸水被害を受けた熊本県芦北(あしきた)町の町立佐敷(さしき)中学校の支援活動に、相模原市立田名中学校(同市中央区田名)が取り組んでいる。生徒の発案で20万円の募金が集まり、現地の要望に基づき流失してしまったサッカーボールなどを発送した。今月にはメッセージを書いたしおりを挟んだ書籍も送り、支援を通じた交流が始まっている。

 田名中の活動のきっかけは、豪雨被害直後に生徒たちが受けた道徳の授業だった。東日本大震災直後に小さな支援活動が広がっていったことを学んだ3年生から、「豪雨被害を受けた人たちのために、自分たちにも何かできないか」との声が上がったという。

 生徒が中心となって校内に募金を呼び掛け、3日間で約20万円が集まった。同町教育委員会とかねてつながりのあった教員が支援を打診すると、川の氾濫によって校舎1階が浸水するなど、大きな被害を受けた佐敷中を紹介された。

 8月上旬にはオンラインの会議で双方の生徒が初めて顔を合わせた。佐敷中の生徒から「甚大な被害を受けたけれど、募金活動をしてくれて、ありがとうございます」と感謝の言葉が伝えられた。

 今月4日には、生徒会と学級委員の生徒21人が小説や実用書など66冊の発送作業を行った。「がんばれ」「遠くから応援しています」などと、生徒が応援のメッセージを書き込んだ手作りのしおりを挟んだ。

 田名中3年で学級委員長の生徒(14)は学校近くの相模川が増水した昨年10月の台風19号の豪雨が忘れられないという。「私の家にも親戚が避難してきて、佐敷中の被害が人ごとには思えなかった。私たちの支援が少しでも力になれば」と話していた。

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