江口拓也◆信長とは、声優の仕事だけでは全然食べられなかった時期を共に過ごした仲なんです

アニメ「フルーツバスケット」(以下「フルバ」)2nd seasonで真鍋翔役を務める江口拓也が登場。「昔から『フルバ』が好き」と語る江口が、昔話に花を咲かせながら、アフレコの裏側や本作で共演した草摩由希役の盟友・島﨑信長との思い出、本作の印象的なシーンについて語ってくれた。

――江口さんは、原作が連載されていた当時、妹さんと一緒に「フルーツバスケット」に夢中だったとか。

「そうなんです。妹が原作漫画を買っていたので一緒に読んでいて、エピソードやキャラクターについてよく語り合っていました。あまりにも続きが気になって、僕が続きの巻を買ったこともありましたね」

――そのくらいハマった理由は何ですか?

「妹がいたおかげで少女漫画に触れる機会は多かったんですけど、それまでの少女漫画からは感じられなかった“暗さ”があったんですよね。これが大きな理由です。ギャグはギャグで面白いんですが、ジェットコースターのように落ちるところまで落ちてしまう瞬間もあって、そういう陰鬱とした雰囲気が僕はすごく好きでした」

――当時は特に珍しかったかもしれないですね。少女漫画といえばキュンとする恋愛を描くイメージが強いですし…。

「そうですね。『フルバ』は“ボーッとしていたらメタメタにされるぞ!”という感じで、不安に駆られるほどに暗いんですよね。そういうところにグッと心をつかまれました。なので、真鍋役で出演が決まった時は縁を感じましたね」

――妹さんに報告しましたか?

「いえ。僕の妹、僕に似てめっちゃドライなんですよ(笑)。なので、僕の仕事に関して妹から聞かれることもないし、こちらから言うこともありません。もしかしたらアニメを見てびっくりしているかもしれないですけどね!」

――きっと驚いているでしょうね! 真鍋は、2nd seasonから本格的に登場しましたが、江口さんご自身はどんな風に役を捉えて収録に臨みましたか?

「『フルバ』における真鍋の役割は、由希と友情を築くことと、バラエティー要素を加えることだと思うんです。2nd seasonに入り、物語的にはどんどん深い部分が描かれて陰鬱とした雰囲気になっていくので、真鍋に少しでも明るくしてほしいという気持ちになるんですよね。なので“彼の持っている明るい部分をどう表現していくべきか”を一番に考えていました。最初から音響監督にディレクションを受けたわけではなく、僕が持っていったイメージを最初にやってみて、『もう少しこうしてみましょう』という指示を受けながらキャラクターを作っていきましたね」

――由希との友情に関しては、由希役の島﨑信長さんとの掛け合いが重要になるかと思います。島﨑さんは、以前、江口さんが真鍋役だから「やりやすい」とおっしゃっていましたが、江口さんはいかがでしたか?

「僕も同じですね。信長とは、声優の仕事だけでは全然食べられなかった時期を共に過ごした仲なんです。アニメのガヤに一緒に参加して、その帰りにご飯を食べに行き、『早く一人前になりたい!』と語り合って今に至るので…。自分から言うのは恥ずかしいですけど、僕ら2人も友情関係を築いてきました。だから、信頼関係も強いと思っています」

――「フルバ」の現場では、島﨑さんがメインキャストで頼もしかったでしょうね。

「そうですね。それに、本田透役の(石見)舞菜香さんや草摩夾役の(内田)雄馬くんもいるので、3人でとてもいい空気を作っていました。それを一歩離れたところで見守る草摩紫呉役の(中村)悠一さん、みたいな(笑)。途中からでもすごく参加しやすい、いい現場でした」

――2nd season も9月21日放送で最終回を迎えますし、今後Blu-ray&DVDのVol.3以降も発売されるということで、振り返りの意味も込めて特に印象的だった真鍋登場回を教えてください。

「一番は、やっぱり第13話(6月29日放送)ですね。登場シーンもセリフも多いので、どうしても印象深くなります(笑)」

――真鍋と由希がお互いに主張をぶつけ合う、ケンカのシーンが強烈でした。

「由希との関係性が大きく変わるきっかけにもなりますからね。真鍋はこの時どう思っているのかと、内側に秘めた感情も丁寧に考えながら演じていました。あと、もう一つ挙げるなら、第21話(8月24日放送)の終盤ですね。由希がお母さんとの間にあるわだかまりを吐露するんですけど、そういう時はちゃかさず聞くのが真鍋らしくて…。“良き親友として由希と向き合っているな”と感じられて、すごく好きなシーンです」

――ちなみに、昨年放送された1st seasonも含めて、真鍋登場回以外で印象深い回はありますか?

「1st seasonの第24話で、夾が本来の姿に変身してしまうシーンです。それまで『呪い、呪い』と言っていたけれど核心に迫る場面がなくて、“呪いって一体なんだろう?”と思っていたところでの展開だったので、“わあ、めっちゃ呪いじゃん!”みたいな…(笑)。“夾はこんな運命にさいなまれながらも生きているんだ”と、真の闇に触れた気がして、原作を読んでいた当時も衝撃を受けました。それに、僕はきっとこういう部分が描かれていたから『フルバ』を好きになったと思うので、一層強く印象に残っていますね」

――2nd seasonの最終回がついに放送されます。最終回には真鍋は登場しませんが、「フルバ」ファンの江口さんにとっては最終回の展開も原作を読んだ時に驚いたのではないでしょうか?

「そうですね! 衝撃の事実が告げられる回です。2nd seasonでじっくり描かれてきた異性に抱きつかれると十二支の動物に変身してしまう“物の怪憑き”の呪いに関するいろんな思いが集約されます。原作を知らない人たちは、特に驚くと思いますよ。最後までぜひお楽しみください」

【プロフィール】

江口拓也(えぐち たくや)
5月22日、東京都生まれ。双子座。B型。アニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」(TBSほか)、「あはれ!名作くん」(NHK Eテレ)に出演中。「アイドリッシュセブン Second BEAT!」(TOKYO MXほか)が10月4日放送再開。「転生したらスライムだった件」第2期が21年1月スタート。

【作品情報】

「フルーツバスケット(終)」
9月21日
テレビ東京ほか
月曜深夜1:30~2:00

世界的ヒットを記録する高屋奈月の同名漫画をアニメ化した2nd season。3学期が始まり、紅葉(潘めぐみ)から渡された文化祭のDVDで魚谷(種﨑敦美)の姿を見た紅野(梅原裕一郎)は、透(石見舞菜香)に衝撃的な事実を告げ…。

【DVD&Blu-ray情報】

Blu-ray&DVD「フルーツバスケット 2nd season Vol.3」
9月25日発売

第9話~第13話を収録し、高屋奈月描き下ろしオリジナルマンガと特製ブックレットも封入。
Vol.4は10月30日、Vol.5は11月27日、Vol.6は12月25日に発売される。

【プレゼント】

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(応募期間:2020年9月16日正午~9月23日午前11:59)

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取材・文/松本まゆげ 撮影/Marco Perboni ヘア&メーク/寺田英美(e-mu)

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