安治川親方×中村親方が占う九月場所「貴景勝“婚約パワー”でV」

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8月24日、東京・赤坂の飲食店で食事を終えた大関・貴景勝と婚約者の有希奈さん

9月13日に初日を迎えた大相撲九月場所。七月場所は元大関・照ノ富士(28)の幕尻優勝という劇的な結末となったが、今場所はどうなるのか。安治川親方(41・元安美錦)と、中村親方(38・元嘉風)に聞いた--。

まずは「優勝候補の本命」。これには、両親方の見解が大関・朝乃山(26)で一致した。

安治川「先場所は優勝こそ逃したものの、新大関としては申し分ない成績。とくに前半戦は取りこぼしもなく、安定感が光った。横綱2人が不在では、やはり優勝争いの中心になると考えていい。『自分が大関なんだ』という気迫を、もっと前面に出していければ、ひと皮もふた皮もむけてくる」

中村「かつての白鵬のような、絶対的本命は不在。とはいえ、優勝候補の筆頭は、やはり朝乃山。先場所は終盤の連敗で優勝を逃したが、あの経験が今場所で生きてくるはず」

対抗以下は大混戦になると、親方たちは読む。注目は、やはり関脇3人衆だ。

安治川「正代(28)は、この2場所でかなりよくなっている。早く攻めようという気持ちと、一気に前に出る動きがうまく噛み合っている。自分の相撲を取り切れば、成績もついてくるだろう。

大栄翔(26)も、相撲っぷりがいい。体はそれほど大きくないが、丸い体をうまく生かしている。稽古もよくやっていると、いろんなところから聞こえてくる。そういう人は自然と番付も上がってくる。

御嶽海(27)は、優勝2回という実績が示すように、実力は証明済み。ただ、本当に大関に上がる気があるのか、稽古に対する姿勢が、どうも見えてこない」

中村「優勝争いの2番手、いや、“1.5番手” にあげたいのが大栄翔。自分は現役時代に4回対戦したが、すべて一方的にやられてしまった。

自己分析に努めて、自分の体をコントロールできるようになれば、いま勝てない相手はいない。それほどの力がある。まだ粗削りな部分はあるが、優勝してもおかしくない存在」

場所前に婚約を発表した大関・貴景勝(24)も、注目すべき一人だ。

安治川「カド番も抜けて、パートナーもできた。自分も現役中に結婚して、やはり影響は大きかった。家に帰れば待っている人がいる。それだけで気持ちの切り替えもできるし、プラスになると思う」

中村「大関に上がってから怪我もあったし、なかなか満足できる結果は残せていない。しかし、相撲に取り組む貪欲な姿勢は、必ず生きてくる。婚約もしたことだし、いい転機にして上を目指してほしい」

先場所優勝の照ノ富士に関しては、伊勢ケ濱部屋の部屋付き親方である、安治川親方に聞く。

安治川「幕内復帰でいきなりの優勝は出来すぎでした(笑)。先場所、ポイントがあったとすれば、中日の錦木戦かもしれない。苦手意識があるらしく、『嫌なんだよな』とこぼしていたので、『普通にまわしを取れば勝てる相手だろ』と言ってやった。あそこで勝ったのが、いいきっかけになったのかもしれない。

まだ膝の状態は、けっしていいとはいえない。そのぶん、上半身を鍛えに鍛えている。まわしに手が掛かれば、という自信は持っている。立合いを工夫するなど、考えた稽古をやっている。

前頭筆頭まで番付が上がって、対戦相手は厳しくなるが、優勝争いのカギを握る存在だし、もちろん今場所も優勝候補の一人ですよ」

2場所連続で平幕優勝となれば、史上初の快挙となる。一方、新入幕で注目を集める豊昇龍(21)についても、親方2人の意見は一致する。

安治川「さすが『朝青龍の甥』というだけあって、いいものを持っている。幕内力士相手に臆するタイプでもなさそうなので、気迫を前面に出した相撲を取ってほしい。

偉大なおじさんと比べれば、体も相撲内容もまだまだ。稽古に対する姿勢や気持ちの面だとか、おじさんのいいところを手本にして頑張ってもらいたい」

中村「たしかに、体のバネはおじさん譲りだと思うし、素質は十分。新入幕なので、勝ちにいこうとするより、とにかく思い切ってやってほしいね」

そして両親方が、期待の大きい力士として挙げたのが琴勝峰(21)だ。

安治川「新入幕だった先場所はなんとか勝ち越し。今場所は、もっと暴れてくれるんじゃないか。体のサイズもいいし、素質の高さを感じる。早く上位との取組が見たいと思わせてくれる有望株」

中村「先場所は序盤連勝したものの、そこから苦戦していた。しかし幕内2場所めとなれば、勝ち越しは当然だし、二桁勝利も十分にある。フレッシュな人が加わって、今場所もおおいに盛り上がると思う。

残念なのは、そのなかに自分がいないこと。自分も現役で相撲を取っていたかったと、今でも思ってしまうね」

九月場所は、どんなドラマが生まれるのか。

写真・梅基展央
コーディネート・金本光弘

(週刊FLASH 2020年9月26日・10月6日号)