【MLB】新天地で覚醒する前田健太 データが示す昨季との明らかな“変化”とは?

ツインズ・前田健太【写真:AP】

昨季までは4割前後あったストレートが今季は2割以下に減少

今季ここまで9試合に先発して5勝1敗の好成績をマークしているツインズの前田健太投手。5勝はメジャー9位タイ(リーグ6位タイ)、防御率2.43は11位(リーグ4位)の好成績を残し、1イニングに出す走者の数を示すWHIPはメジャートップの0.74と目を見張る成績を残している。

ドジャースからトレードで今季ツインズに移籍した前田。ドジャース時代はシーズン終盤やプレーオフで中継ぎに配置転換されていたが、新天地ではローテの中核となり、そして地元メディアの間でもプレーオフの「先発1番手」との呼び声が上がるほど、評価が高まっている。

ドジャースからツインズへとユニホームが変わった前田だが、今季、投球データから見ても、ドジャース時代から大きな変化が起きているのだ。

米データサイト「Baseball Savant」によると、ドジャースに在籍した2016年からの4年間、前田の球種割合はストレートが30%から40%で最も多く、次いでスライダーが20%から30%ほどとなっていた。チェンジアップはメジャー1年目の2016年は10%ほど。年々増加し、2019年には23%となっていたが、それでもストレートやスライダーに比べれば、少なかった。

スライダー&チェンジアップの2球種が約7割占める

ところが、ツインズに移籍した今季、その球種割合が“激変”している。例年30%超あったストレート割合は、わずか18.7%に減少。42%近くあった2018年と比べれば、20%以上減らしている。これに対して、スライダーの割合は4割近い38.6%にまで増え、チェンジアップ(スプリットチェンジ)も29.7%にまで増加している。

スライダーとチェンジアップの2球種で7割近い球数を投げており、ツーシームが6.7%、カットボールが3.2%、そして年々その比率が減っていっているカーブが3.1%となっている。また、昨季は被打率.280だったストレートの被打率が今季は.094にまで低下している。組み立ての変化がここにも好影響を及ぼしている可能性もある。

前田自身が「僕といえばスライダー」と語るほど、スライダーは自信を持っているボール。試合の中でも状況などによって変化の大きさや球速を変えるなど、複数のスライダーを投げ分けている。

NPB時代の前田といえば150キロ前後の真っ直ぐを軸に、スライダーとチェンジアップ、カーブを交える本格派だった。ただ、少なくとも今季は、ストレートではなく、このスライダーと斬れ味の増すスプリットチェンジの2球種が投球の組み立ての軸になっているようだ。(Full-Count編集部)

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