不動産業者に不動産を売却することのメリットとデメリットって?

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仲介で売却すると時間がかかる

不動産業者の「仲介」で不動産を売却する際、不動産業者に査定を依頼すると依頼を受けた業者は査定書を作成し売主に提示します。この査定書は「このくらいの金額で売却できると思います」という金額ですが、この金額で確実に売却できるわけではありません。

仲介業者は売主と媒介契約を結んだ後、買主候補を探し、見つかった買主候補と金額や引渡時期などを含めさまざまな条件を詰め、合意できれば売買契約を結ぶことになります。売買契約を締結できるまでの期間は標準的に考えても3ヶ月程度。早くても1ヶ月、長くかかる場合には数ヶ月以上かかることもあります。

しかし、売主の事情によっては「早く現金化したい」とお考えになる方も少なくありません。その事情はさまざまですが、なにかしらの「急がなければならない事情」「資金需要」がある場合がほとんどです。よくあるケースとしては、「相続」「離婚」「買替え」に伴うものなどがあります。住宅ローンの支払いが困難になり、やむなく手放すという場合もあるでしょう。

相続

相続が発生し、複数の相続人で遺産を分割する場合、不動産では分割しにくいため、売却したうえで現金で分割(換価分割)するケースがあります。あるいは、相続税の支払原資を確保するために売却して現金化する場合もあります。

不動産を多く所有する「地主業」を営んでいるような方の場合、生前から税理士等と相談し、相続対策として、相続人が相続税を支払うための原資「納税資金」を確保するための対策を採られている場合が多いでしょう。

しかし一般の方の場合、相続が発生し、相続税の試算をして初めて「そんなに払わなければならないのか」と気付く場合も少なくありません。都内などの都市部に一戸建てを持っているような場合、相続税を軽減する特例などが使えないと、多くは相続税の課税対象になります。

相続税の申告・納付は相続発生を相続人が知ったときから10ヶ月。長いように感じるかもしれませんが、相続人の人数や遺産分割協議などを行っているとあっという間に過ぎてしまう期間です。分割方法が決まるまでに時間がかかると、申告・納税の期限までに猶予がない場合も出てきます。

離婚

離婚される場合では、共有になっている不動産を含めた財産分割が問題になるケースがあります。

一方がもう一方の持ち分を買い取る場合という方法もありますが、かなりの額を支払わなければいけないこともありますし、それまで支払っていた住宅ローンや固定資産税などの税金など維持するための費用を、その後は一方のみで負担することにもなります。

買取るための資金が確保できなかったり、その後の費用負担が厳しくなる場合、あるいは離婚した相手とこれまで住んでいた家には住みたくないという場合など、急いで売却するケースがあります。

共有の不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要になります。しかし、離婚を決めた夫婦の場合、なるべく早くスッキリしたい、できるだけ顔を合わせたくないという心理が働くことが多く、売却を急ぐケースが少なくありません。

買替え

買替えにもさまざまなケースがあります。お子さまが成長し、これまで住んでいた家が手狭になり、大きな物件に買替える。お子さまが独立して小さな家に買替える、などの家族構成の変化。仕事上の都合などで転居し、戻る予定がない。定年後に地方移住するという場合もあります。他にもさまざまなケースがあるでしょう。

買替えの場合、次の家を確保するための原資が、現在の家の売却資金である場合も少なくありません。先に今住んでいる家を売却すると、新しい家が決まるまでの間の仮住まいの場所を確保する必要が生じたり、引っ越しが複数回になり余計に費用がかかる場合があります。

一方、先に次に住む家を購入した後、今の家を売る場合には売却価格が確定していないため、資金面に不安が残る場合があります。

買取りの最大のメリットは「早く現金化できること」

こうしたさまざまな事情で「多少安くても早く売りたい」「確実に売却できる価格を知りたい」という売主がいます。

一般的な仲介で買主を探すと時間がかかってしまいます。どうしても早く現金化したい場合に「不動産業者への売却」という選択肢があります。

買取りの最大のメリットは「早く現金化できること」です。物件や業者の事情にもよりますが、2~3週間で売却できると考えられます。しかし、その一方で、実勢価格より大きく価格が下がるということがデメリットになるといえます。

「買取価格」は不動産業者の費用・リスク分が差し引かれる

不動産業者の立場から見る「買取り」になりますが、この場合不動産業者側にも費用やリスクが伴います。

ほとんどの不動産業者は、売主から物件を買い取る場合にその原資を金融機関からの「融資」によって調達します。金融機関が不動産業者に行う融資は「事業用」のものであるため、「住宅ローン」のような低金利の融資ではありません。また、融資に伴う手数料などの「資金調達コスト」もかかります。

税金面でも、一時的にでも業者が取得することになるため、不動産取得税や保有期間中の固定資産税などのほか、物件を維持するための費用がかかります。次の人に売却するときに利益が出れば、その利益に対しても税金がかかります。

不動産業者が買い取った物件を再度販売(再販:さいはん)する場合にはリフォームなどを行うケースが少なくありません。

また、再販する場合には売主=不動産事業者、買主=一般個人となるため、物件には瑕疵担保期間が設定され、その期間に物件に不具合があった場合、不動産会社にはその修補(=修理や補償など)対応を行う必要も出てきます。想定していた期間で売れない場合には金利負担も増し、価格も値下げしなければならなくなるかもしれません。

さらに、保有期間中に経済状況の変化のほか、当該物件やその周辺で災害が発生した場合など、状況が急変すると当初想定していた価値が下がり、大きな損失になる可能性もあります。こうした負担やリスクを負いながら買い取ることになるため、一般的に買取価格は実勢価格から2~3割程度下がった価格になると考えられます。

物件によって価格変動リスクには大小があります。周辺の取引事例が豊富で価格の予測が正確にできる物件であれば、買取価格も高めになる可能性がある一方、価格が読みにくい、あるいは価格に影響を及ぼしそうな懸念事項がある物件では、買取価格はもっと下がってしまうこともあり得ます。

まとめ

不動産業者にはいくつかのキャッシュポイント、つまり収益を上げる機会があります。主なものは「仲介手数料」と「転売益」であり、これらを得ることが不動産業の本業だといえます。

仲介手数料は、売主と買主の売買契約が成立したときに得られるものですので、売却活動に費用はかかるものの、物件価格が下落したからといっても不動産業者が直接大きな損失を受けるものではありません。一方、買取再販事業の場合、物件価格の下落や保有期間の長期化は業者に損失が発生します。

実際に不動産業者が物件を買い取る場合の価格は、最終的に販売できる価格から、販売にかかるさまざまな費用を差し引き、不動産業者の利益分も考慮して決定します。

買取りの場合、物件や業者の事情にもよりますが、2~3週間で売却できると考えられます。とにかく早く売りたいという方には不動産業者への売却(=買取り)も1つの有力な選択肢になるでしょう。

執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

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