デスク日誌(9/17):男はつらいよ

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 毎週土曜日、BSテレ東で放送している山田洋次監督の映画「男はつらいよ」シリーズを楽しみにしている。

 シリーズは、主演の渥美清さんが1996年に亡くなった後に公開された「寅次郎ハイビスカスの花 特別編」「お帰り寅さん」を除くと、69年から95年にかけて計48本が製作された。何度も見ているのに、同じ場面で抱腹し、ホロリとさせられるのは、それだけ作劇がしっかりしているからなのだろう。

 寅さんが旅で訪れた土地の中には、風景がすっかり様変わりし、廃線になった鉄道もある。それらを見ると、単なる懐かしさだけでなく、私たちの生活が便利になったことと引き換えに失ったものは何かを思い知らされる。一連の作品は今や、昭和40年代から平成にかけての庶民の暮らしぶりや地方の風景の貴重な映像資料とも言えよう。

 作品の奥深さに加え、名場面や名ぜりふが多いだけに、コラムを書く際の題材にもなる。ただし、そう頻繁に登場させるわけにはいかない。それでも、作品を見ながら「これは使えそうだ」などと、つい、ひとりごちてしまう。 (論説副委員長 宮川宏)