【アメリカの教育】突出した才能をもつ「ギフテッド」とは

ギフテッドとは

 アメリカ教育省の定義によると、ギフテッドとは、「同世代の子供と比較して、並外れた成果を出せる程、突出した知性と精神性を兼ね備えた子供のこと」である。

  ギフテッドの子供は突出した才能があるかわりに、興味のある事以外はやりたがらない、意義を見出だせなければ周囲に合わせるのが苦痛、一般的な学校の勉強に興味を示さず成績は芳しくないなどの特徴を持っている場合がある。また、繊細さや感受性の豊かさにより過度に周囲に同化しようとし、意図的に能力以下の成績を修めるなど、ギフテッドの特異な才能を隠す傾向がみられることが指摘されている。ギフテッドは一般教育ではその才能をフォローすることが難しく、アメリカをはじめ、欧米諸国ではギフテッド用の才能を伸ばす英才教育が行なわれている。

  また、ギフテッドの中には2Eまたは「二重に例外的な」(twice-exceptional)と呼ばれる、高い知能と障害を併せ持った人々が存在する。(wikipediaより)

 アメリカのギフテッド教育

 個を重んじるアメリカ合衆国では、19世紀ごろからギフテッド教育に取り組み始め、現在もギフテッド教育が浸透している。ギフテッドは、タレンテッドという言葉と併用され、ギフテッドやタレンテッドの子供たちへのギフテッド・タレンテッド教育 (GATE, Gifted and Talented Education) と呼ばれ、それぞれの特徴に合わせた教育やプログラムが受けられる体制が整っている。

  全米教育統計センター(NCES)の統計資料によると、ギフテッド・タレンテッド教育プログラムに登録している公立学校の生徒は、2013-2014年度のアメリカ全土で6.7%に及ぶ。ギフテッド・タレンテッドの子供がそう多くないことを考えると、この数字はギフテッド・タレンテッド教育がアメリカで十分に普及している数字だと捉えてもいいだろう。また、アジア人が13.3%、性別によっても数字に差が少ないことを考えると、性別・人種によらずギフテッド・タレンテッド教育が行き届いていると言えるだろう。

日本のギフテッド教育

  一方、日本ではギフテッドという言葉自体あまり浸透しておらず、ギフテッド教育は広く浸透しているとは言い難い状況だ。日本国内でのギフテッド教育は、発達障害を併せ持った2Eのギフテッドに対する教育を行なっている東京の翔和学園(1999年設立)や、渋谷区で2017年から問題を抱えているギフテッドへの教育プログラムがスタートするなど少しの事例はあるが、19世紀からギフテッド教育に国家を挙げて取り組んでいるアメリカと比べると、どちらも歴史は浅く民間やいち地域の取り組みであり範囲は狭く、また事例の数も少ない。

 現在の日本のギフテッド教育の状況下では、周囲の理解を得られずに意図的に能力以下の成績を修めている子供や、学校の授業が退屈で成績が振るわない子供、周囲とうまく合わず不登校になるなどの問題を抱えたギフテッドの子供が多く存在していると思われる。

  ちなみに、著者もギフテッドと診断されているわけではないが、ギフテッドに似た特徴があり、学生時代は、経歴の通り学業成績にはいい影響を及ぼしたものの、他の面で問題を抱え、葛藤することも多かった。今思えば自分にあった教育環境があれば、さらに充実した学生生活を送ることができ、成長できていたこともあり得たのかもしれない。

  日本の現状の教育体制や、個よりも集団を重んじる風土では難しいところも多々あるとは思うが、埋もれている才能を発掘して伸ばし、日本の未来を明るいものにしてくれる子供を育てられるかもしれないギフテッド教育に、是非目を向けてみて欲しい。

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