育児休業さえ取れない会社は、生き残れるのか? コロナでわかった育休の「質」の大切さ

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新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えた今、家族とどのように関わっていくのか。

仕事と育児の両立について考えるオンラインフォーラムが9月17日、配信された。9月19日を「育休を考える日」と制定した積水ハウスが開いた。

男性の育休取得率がアップ

Ydl / Getty Images

小泉進次郎環境相の"育児休業"の取得や、子どもが生まれた国家公務員の男性に1カ月以上の育休取得を促す取り組みがスタートしたことなどから、特に注目されているのは、男性の育休。

この日、積水ハウスが発表した「イクメン白書2020」によると、同社が2020年7月に全国の小学生以下の子どもがいる20〜50代の男女9400人に調査した結果、男性の育休取得率は12.8%で、前年の9.6%から3.2ポイント上がった。

厚生労働省の雇用均等基本調査でも、2019年度の男性の育休取得率は7.48%で、前年度の6.16%からわずかに上がり、過去最高となっていた。

「イクメン白書2020」 / Via sekisuihouse.co.jp

女性が8割台で推移しているのに比べると、依然としてかなり低い水準であるとはいえ、取得率が向上し続けている男性の育休。

NPO法人「ファザーリング・ジャパン」のアンケート調査によると、コロナ禍では、育休の取得を希望して実現したという男性がコロナ前に比べて増えていたという。

ファザーリング・ジャパンファウンダー / 代表理事の安藤哲也さんは、「新型コロナウイルスの影響で、働き方が変化したり業務の稼働率が低下したりしていることも、育休取得の追い風になっていると考えられる」と話した。

積水ハウスのダイバーシティ推進部で課長をつとめる森本泰弘さんは、同社が2018年9月に3歳未満の子どもがいる男性社員向けに始めた、最初の1カ月は有給になる育休制度の取得率が100%となっていることに触れ、こう話した。

「民間企業が男性の育休取得促進に注力するようになり、国家公務員の男性も1カ月以上の取得を推進しています。地道な取得促進活動の結果が出ているのではないでしょうか」

育休すら取れないようでは

一方で、同社の仲井嘉浩社長は、今後の課題についてこのようにまとめた。

「『休業中も会社から電話がかかってくる』『メールで仕事ばかりしている』といった不満が、育休を取得した社員の配偶者から聞こえてくることがありました。育休中の満足度をより上げるには、育休に入る前の準備と職場の協力体制にかかっています」

こうした分析をした背景には、コロナ禍で働き方の変革を迫られた経験から「事前に準備ができる育休すらスムーズに取れなければ、突発的な事態を乗り越えられないのでは」という危機感もある。

属人的な業務を棚卸ししたり、同僚に情報共有したり、必要なツールを導入したりすることは、育休に限らず、介護や病気などさまざまな事情が起きたときにも必要で、どの社員にも起こりうることだ。コロナ禍で出社が制限されたときにも、多くの職場で課題になった。

積水ハウス 左から、ファザーリング・ジャパンの安藤哲也さん、ジャーナリストの治部れんげさん、前内閣府男女共同参画局長の池永肇恵さん、積水ハウス執行役員の伊藤みどりさん、オンラインで登壇した三重県の鈴木英敬知事

前内閣府男女共同参画局長の池永肇恵さんは、こう話す。

「子育て中の人だけでなく、高齢者、障害のある人など、時間や場所の制約がある人たちにどうやって成果を出してもらうのかを、人事上のマネジメントとして真剣に考えていかなければなりません」

「ある程度の予定が立てられる育休すら取れないということは、その先に求められている人事管理ができないということです。誰かが抜けたときに業務が滞るのであれば、企業にとって大きなリスクになります」

ジャーナリストの治部れんげさんも「男性の育休は"贅沢品"ではありません」と話す。「男性も女性も、ケアワークをしながら働き続けられることが、持続可能性という観点でとても重要です」

「とるだけ育休」から質の向上へ

男性の育休をめぐっては、取得はしたものの「家事や育児は妻任せ」「結局は持ち帰り仕事をしている」「会社の取得率の数字を上げるため」といった実情が「とるだけ育休」として批判されたこともある。

ファザーリング・ジャパンの安藤さんは、「取得することが目的ではなく、育休を取って何をするかが重要」と力を込める。

男女共同参画白書 / 池永肇恵さん資料

「とるだけ育休」になりがちな要因として、池永さんは「男女のワーク・ライフ・アンバランス」がある、と指摘する。仕事・家事・育児に使っている時間に、データ上で男女間で格差が見られるからだ。

男女共同参画白書によると、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦では、妻の「仕事」などの時間は夫の5割程度で、夫の「家事・育児・介護」の時間は妻の2割程度だ。

また、シングルの世帯では男女の家事時間はほぼ同じなのに、夫婦世帯や子育て世帯では、女性の家事時間が男性の2倍以上になるという。

厚生労働省 / 池永肇恵さん資料

「夫の家事・育児時間が長いほど、一人目の出産前後に妻が仕事を続ける割合が高いというデータもあります。子どもが小さいときから、パートナー同士が子育てを一緒にやるという空気を社会全体でつくりだす必要があります」(池永さん)

男性の育児休業は、本人、配偶者、企業、社会のいずれにとっても意義がある「四方よし」だとまとめた。

9月19日は「育休を考える日」。BuzzFeed Japanは9月19日(土)17時から、育休について考えるオンラインイベント「だって家族といたいから #育休を考える日」をTwitter(@BFJNews)より生配信します。

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「だって家族といたいから #育休を考える日」

【出演者】 犬山紙子さん(エッセイスト)・劔樹人さん(ベーシスト・漫画家)・田中俊之さん(社会学者)・伊藤みどりさん(積水ハウス株式会社執行役員)・MC ハヤカワ五味さん

【配信】9月19日(土)17時〜 Twitter(@BFJNews)より生配信

【提供】積水ハウス株式会社