なぜ阪神・西勇輝は2連続完封できた? 左打者7人並んでも苦にならない強み

阪神・西勇輝【写真:津高良和】

OBの野口寿浩氏は「まだ望みがある中、今後へのきっかけになる」と評価

■阪神 11-0 巨人(17日・東京ドーム)

阪神のエース・西勇輝投手が17日、敵地での巨人戦で9回4安打無失点の好投を見せ、自身初となる2試合連続完封勝利を無四球で飾った。試合は阪神が11-0で大勝。東京ドームでは、9試合目にしてようやく今季初勝利をつかんだ。巨人の連勝は9で止まった。

チームトップの7勝目を挙げた西勇について、ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜で活躍し、18年までヤクルトで2年間ヘッドコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は「まだ優勝の可能性が消えていない中で、阪神はこれから勝ち続けていかないといけない。その、いいきっかけになる試合になった」と、エースとして最高のピッチングをした西勇を称えた。

圧巻の投球だった。11日の広島戦(甲子園)から中5日で迎えたマウンドで、巨人打線に二塁すら踏ませなかった。2回からは正捕手の梅野に代わり、急きょ坂本がマスクを被ったが動じず。2試合連続の無四球完封で、ようやく敵地で巨人に今季初黒星を付けた。この日の西勇の投球について、野口氏はこう解説する。

「テンポがめちゃくちゃ良く、間合いを短く、ポンポン投げていた。失投がほとんどなく、少しボールが先行しても慌てない。もともと全球種を両サイドに投げ切れる投手。技術的にも何もかピッタリはまった試合だった」

前日16日に続き、坂本、岡本と2人のレギュラーが欠場する中、巨人ベンチはウィーラーと投手のサンチェスを除き、左打者を7人並べた。だが、西勇はそんな巨人打線をまったく苦にしなかった。

「巨人が右打ちの2人を使ったところでどうだったか。それくらい西はいい投球をした。(右腕の西に対しては)左のほうが少し有利だが、左を並べればいいという訳ではない」

首位巨人と10.5ゲーム差も…奇跡の逆転Vへ「きっかけになる試合」

では、他球団は今後、西勇を攻略するためにはどうしたらいいのか。野口氏は打線の組み方、そしてチームとして狙い球を徹底することがポイントだと指摘する。

「巨人がこれだけ左打者を並べても打てなかった。となると、これから他球団は左打者を打順の中でどこにどう並べるかを考えてくると思う。そして、チームとしてコースを徹底的に絞っていかないといけない。西は左打者の外角にもシュートもスライダーも投げる。直球と思って打ちにいったらシュートということが多いが、その中で、踏み込んでいってどう打てるかだ」

そして、阪神にとってこの日の1勝は、逆転Vへのかすかな望みをつないでいくために、チームに号令をかける1勝にもなったと野口氏は言う。

「巨人としては、今日の1敗は仕方ない。西はそれくらいいい投球だった。ただ、どれだけやられても1敗は1敗。逆に、3タテしなければいけなかった阪神としては、連敗した悔しさを晴らす試合になった。自力Vは消滅したけど、他力でもまだ可能性が無くなった訳ではないし、東京ドームでの試合もまだ残っている。ドームでの連敗を止めたことで、今までよりは今後いいイメージで試合を迎えられるかもしれないし、阪神としてはこれからも勝っていくしかない。そのいいきっかけになる試合になった」

優勝マジック35の首位巨人とのゲーム差は10.5。残り45試合で順位をひっくり返すことは容易ではないが、奇跡の逆転Vに向け、阪神ナインはまだまだ諦めてはいない。(Full-Count編集部)

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