「税金サブスクの中身、知ってた方が得じゃないですか?」POTETO代表・古井康介氏インタビュー

政治に興味を持ってほしい!選挙に行ってほしい!若者の投票率を上げたい!……そう奮起している者の想いには、強い怒りの感情が含まれていることも多い。25歳の若き社長である株式会社POTETO Media代表古井康介氏は、他の活動家と同じ「政治をわかりやすく」を掲げながらも、運営する『POTETO』『POTOCU』に込める想いの中には怒りがないと言う。強制はしないけれど、ただ困っている人には必要なサービスが行き渡るように、と。その想いの裏側を探るべく、選挙ドットコムがインタビューを行った。

自分が税金で入ってるサブスクの中身、知りたくないですか?

-選挙ドットコム 横尾(以下、横尾)
本日はよろしくお願いいたします。ニュースや制度を分かりやすく伝える『POTETO』『POTOCU』興味深く拝見しています。やはりこのようなサービスは国民の皆様に政治に興味を持ってほしいという想いから始まったものなのでしょうか。

-株式会社POTETO Media 古井康介氏(以下、古井氏)
「関心を持ってもらいたい」とはちょっと違いますね。私は政治はツールで、日本にいる限り全員が持っているサブスクみたいなものだと思っていて。入っているけどよく分からないプランにお金を払うってもったいないし、入ってるなら内容知った方が良くない?プランが選べるなら、選んだ方が良くない?という感じで、噛み砕くと分かりやすいと思うんですよ!笑。政治を使いこなせばより生きたい人生を送ることができるんです。そして、みんな政治は助けてくれないと思いがちですけど、制度って意外と整っているものなんですよ。まあ区役所の公式webサイトとか本当に分かりづらいから気持ちは分かるんですけども…。。行政のページの下部についてる「お役に立ちましたか?」って、役に立った試しほとんどなくないですか?笑

-横尾
ないです(笑)。もともと『POTOCU』は4月リリースの予定だったと伺っていましたが、新型コロナウイルスの影響はあったのでしょうか。

-古井氏
はい。「ポリティクスでオトクに」をテーマに、制度を有効活用できるようなネタを前々からたくさん集めてきました。そうしたら新型コロナウイルスの影響で、POTOCUが逆にもっと早く必要になってしまうような事態に……。ですので、現在は新型コロナウイルス関連の制度のまとめをしています。これからまだまだ困っている人の役に立つ情報を発信していきます!

「政治や制度を知った方が得だよ」ということに気付いてほしい

-横尾
選挙ドットコムもそうなのですが、分かりづらいことを分かりやすく発信しようとしている人はたくさんいますよね。『POTETO』『POTOCU』の他と違う点を教えてください。

-古井氏
『POTETO』はニュースメディアとして始まって、むしろ新聞を読んでいない人がターゲットでした。そしてその中に政治を織り交ぜるんですね。例えばTwitterに載せる画像4枚の中に1枚政治を紛れ込ませて読んでもらうとか。

-横尾
ニュースには興味があっても政治には興味がない、って方、多いですもんね。

-古井氏
あとは姿勢だと思います。「政治に興味を持たないなんて!」「投票に行かないと損!」という人がいて、そういう人ももちろん必要なんですが、私たちは怒りのアプローチは基本的には取らないようにしています。。政治や選挙、制度を知った方が得だよ~とか、困ったときに頼りになるものがあるよ~とか、そういう気持ちでやってます。

-横尾
ポジティブな考え方が刺さる人も絶対いますからね!

デジタル化で日本は変わる。POTETOは選択肢を増やす第一歩

-横尾
株式会社POTETO Mediaが考える日本の目標とは一体どのようなものでしょうか。

-古井氏
私たちはデジタルという選択肢をもっと広く考えて良いと考えています。ネットでなんでも買えるようになって、スマホを触ればレストランの料理が食べられるようになって、政治だけデジタル化が進まないことが疑問でなりません。私たちの行う政治に関わる情報のPRを通じて政治の種類がネット上にあふれれば、消費者、というか有権者は選べるんです。選択肢を増やさないと。

時代がもう少し変わって投票のデジタル化に取り組むときがきたら、ぜひ私たちも一緒に取り組ませていただきたいと思います。
極端な話、そうやってデジタル化が進めば議員を介さない直接民主主義だって可能ですよね。そういった可能性も視野に入ってくるくらいに、柔軟にデジタル化を取り入れさせたいです。結局は私たちが掲げる「困っている人に必要なサービスを届けたい」ですね。

-横尾
古井さんは、10年後の世の中がどうなっていてほしいと考えていますか?

-古井氏
うーん……現代人ってすごく生きづらさを感じていると思うんですよね。それ、変えたいですよね。そのためには制度設計をする必要があると感じています。
ある先生によると、日本人にアンケートを取ると、「自分は中流階級だ」と感じている人は全体の8~9割ほどだと言います。貯金を切り崩して、たくさん我慢して、こんなに生きづらさを感じて、そりゃ少子化も起きますよね。めっちゃ陰鬱!でもこれが皆様の考える「中流」だから、自分が施しを受けて良い側なのにそうだと思っていない。資本的に恵まれた人向けのキラキラした政策に惹かれる。、その一方で余裕がないからたった2%の生活保護不正受給にあんなに怒って。このままでは、生きづらさは10年後も変わらないと思います。
この状況を打開するには成長するか問題解決するかしかなくて。両方必要だと思うんですが、成長のための具体的なアイデアが実装されないうちは、後者が現実的に必要なのかな、と思ったりもします。そのための制度設計の一助ができればと思います。

-横尾
本日はありがとうございました。

古井康介氏プロフィール
株式会社POTETO Media代表取締役社長
1995年生まれ。慶応大経済学部(卒業保留)。
大臣や元総理の広報担当などをはじめ、数々の政治家のPRを行う政治専門の広告代理店、POTETOの代表。政府や都政の広報PRアドバイザーや講師を歴任。日本若者政策協議会理事をつとめる。POTETO Media

(構成・執筆協力 ひがしみすず @misuzu_higashi)

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