3人に2人

 歴代最長政権への率直な評価か、長いことお疲れさまでしたという「お餞別(せんべつ)」なのか。もしも「辞める」という決断自体が“支持”されているのだとしたら、それは少し気の毒かも…▲「56.9%」という数字をどう解読したものか、と考えを巡らせたのは8月の末だった。突然の退任表明の直後、安倍晋三前内閣の支持率は最後の最後に、直前の調査から20ポイント超も跳ね上がった▲その10ポイント上をいく数字が出た。17日に本格始動した菅義偉新内閣への支持率は66.4%。1990年以降の首相交代時では4番目の高さという▲“たたき上げの苦労人”のサクセスストーリーに対する共感、路線継承の安心感、新内閣の手堅い布陣への期待、そこに「ご祝儀相場」が加わったか。自民党が直前の総選挙で大勝して政権を奪還した第2次安倍政権の発足時も4ポイント上回った▲しかし-。あなたの不幸せの原因はあなたの努力不足、と聞こえなくもない首相の「自助・公助・共助」は、やっぱりどこか気掛かりだし、内閣が「国民のために働く」のは当たり前。もう開かないと決めた「桜を見る会」は検証も終わりなのか▲と、あれこれ言わずにいられないのは天(あま)の邪鬼(じゃく)が過ぎるのか-と思わず考える「3人に2人」の支持率。期待にたがわぬ成果を、とまずはエールを送る。(智)

 


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