3戦4発の阪神・近本が見せた「長打力」 専門家が語る今後への効果とは?

阪神・近本光司【写真:津高良和】

OBの評論家は「1発のある1番打者へは攻め方が変わる」と指摘

■阪神 11-0 巨人(17日・東京ドーム)

阪神は17日、敵地で巨人を11-0で下し、今季初めて東京ドームの白星を挙げた。「1番・中堅」で出場した近本光司外野手が2本塁打の活躍。15日の同カードでにエース菅野から2本塁打を放った男が、またも東京ドームで1試合2本塁打をマークした。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜で活躍し、18年までヤクルトで2年間ヘッドコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は「相手バッテリーの攻め方が今後変わってくるはず」と3戦4発の効果を予測した。

チームへの号令代わりの1発だった。初回、近本は巨人の先発サンチェスの高めに浮いた150キロの直球を右翼席へ。プレーボール弾となる6号ソロで勢いをつけると、立ち上がりの悪かったサンチェスを捉えて2回までに5得点。さらに近本は、4打席目の6回にも、変わったばかりの桜井のフォークを捉え、右中間スタンドに運ぶ7号。チームを勝利へと導いた。この2発について、野口氏はこう解説する。

「どちらも狙って打った本塁打ではない。1本目は直球に合わせて力負けせずにコンパクトに振り抜いた。素直にバットを出した結果。2本目は、今まで阪神には相性が良かった桜井から打った。これまでのデータを頭に入れた中で、甘い球になったフォークに対し、しっかりコンパクトに振り抜いた」

昨季は9本塁打を放っている近本。決してホームランバッターではないが、この3戦4発で、足だけでなく、長打力もあることを証明したことで、今後に与える影響は大きいと野口氏は指摘。今後、相手バッテリーの攻め方が変わってくるという。

「1番にも長打があると、相手バッテリーへのプレッシャーは大きい」

「カウントが悪くなった場合、1発のない選手だと真ん中にいっても単打にしかならないから、四球で歩かすよりはシングルヒットでもいいかと相手バッテリーは考える。しかし、これくらい打つ打者だとシングルでは済まなくなる。そう思わせることができたのが、最大の収穫。去年も本塁打を打っているが、タイミングや状態が揃えば、これだけ打っても不思議ではない選手。ボール先行でも簡単にストライクを取りにいくと打たれる、と相手バッテリーは思うようになる。スコアラーを通じてデータもいくだろうし、今後、かなり考えた攻め方をしてくるはず」

ここ数年、野球界では長打力のある打者を2番で起用する傾向があるが、巨人・坂本、DeNA・梶谷、日本ハム・西川のように、1発もある打者を1番に置くチームも増えてきた。そして野口氏は、近本も彼らにようになっていける選手だと、その潜在能力の高さを評価する。

「1番にも長打があると、相手バッテリーへのプレッシャーは大きい。坂本、梶谷、西川のように、1発の打てる1番打者が増えてきているが、今後、彼らに近づいていけるのが近本。勘違いして無理して狙ったりせず、甘い球を振り抜いたら結果的に本塁打、というスイングを続けていってほしい」

阪神のチーム打率はここまでリーグ5位の.246で、得点もリーグ4位の325にとどまっている。だが、プロ2年目の近本が1発のあるリードオフマンとして今後も進化を遂げていけば、阪神の攻撃力はさらにアップしていきそうだ。(Full-Count編集部)

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