長崎県議 コロナ感染経験語る 誹謗中傷「想像絶する」

 定例長崎県議会は17日、一般質問を続行し、4人が登壇。今年7月に新型コロナウイルスに感染した浦川基継議員(自民)は入院時の不安や医療者の献身を切々と語り、心のケアに一層取り組むよう県に訴えた。
 浦川議員は感染が確認され入院したが、実名を公表したためネットや会員制交流サイト(SNS)で情報が拡散。子どもが通う学校を特定する書き込みがあったり、深夜に嫌がらせの電話が自宅にかかってきたりして、子どもの不安も大きかったという。
 他の感染者への誹謗(ひぼう)中傷も「想像を絶するだろう」と述べ、県の専門相談窓口設置や弁護士による支援体制整備などを評価。「誰でも感染するリスクがあるとの認識が広がってきた」としつつも、さらなる周知を求めた。
 浦川議員の濃厚接触者らは誰も感染していなかったが、「感染者がいて重症化したり亡くなったりしていたら責任を感じざるを得なかった」と吐露。最前線で治療に当たる医療者や福祉関係者も絶えず感染リスクにさらされており「高齢者にうつすかもしれないとの重圧がのしかかっている」と指摘。医療者ら全員にPCR検査を実施することで「精神的な負担軽減の一助になるのではないか」と県に検討を促した。
 県側は精神的な負担軽減の重要性を認めつつも「感染初期には陰性となる場合もあり、負担軽減のための検査実施は適当ではない。多数感染のリスクがある地域で一斉検査をすればクラスター(感染者集団)を防止できる」などと答弁。浦川議員は「不安を感じている人に手を差し伸べる長崎県であってほしい」と要望した。

 


© 株式会社長崎新聞社