従業員の健康増進図る「健康経営」 熊本県内で取り組む企業40社で連携組織

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健康経営に力を入れるKDSグループの永田佳子社長。従業員向けの講演会では、喫煙の害を具体的に伝えて禁煙を促す=熊本市東区
健康経営の意義を語る協会けんぽ熊本支部の斉藤和則支部長=熊本市中央区

 従業員の健康を経営資源と捉え、健康増進を図る「健康経営」に取り組む熊本県内の企業が増えている。生産年齢人口が減少する中、従業員が元気で働ける環境を整えることで生産性を向上させ、医療費抑制と保険料の負担軽減にもつながるとして注目されている。

 8月、全国健康保険協会(協会けんぽ)熊本支部に「くまもと健康企業会」が発足した。健康経営に取り組む40社が参加。先進的な取り組みを情報交換し、共有する。同支部によると、協会けんぽの加入事業所による健康経営の連携組織は全国初だという。

 熊本支部は2017年から、加入3万社に健康経営の決意を示す「ヘルスター健康宣言」を呼び掛けており、これまでに約1600社が宣言した。だが、「具体的に何をすればいいのか分からない」という声があり、情報交換の場として企業会を立ち上げた。

 同支部加入社のおよそ8割は10人規模の中小企業で、建設業など肉体労働も多い。斉藤和則支部長(70)は「1人欠けると回らない事業所もある。少子高齢化が進む中、従業員の健康を管理し『人財』として確保する必要がある」と訴える。

 さらに、「健康経営に取り組めば『人に優しい企業』として社会にアピールできる」と斉藤支部長。

 もう一つのメリットとして挙げるのが、健康保険料の負担軽減だ。熊本の協会けんぽ加入者1人当たり医療費は18万5922円で、全国平均より約8600円高い(17年度)。医療費などをベースに都道府県ごとに算出される保険料率は、20年度10・33%と過去最高を更新。全国で4番目に高い。

 健康保険料は企業と被保険者(従業員)で折半する。健康な人が増えて医療費が減り、保険料が下がれば、企業の負担も軽減される。

 熊本市と菊池市で自動車運転教習所を運営するKDSグループは、永田佳子社長が就任した09年から健康経営に取り組んでいる。社員食堂のメニューを管理栄養士がカロリー計算や栄養バランスを考えた内容に切り替えたほか、スマートフォンのアプリを使い、従業員の運動を促す「万歩大会」を実施。従業員の扶養家族の健診費用も負担している。

 特に力を入れるのが、禁煙の推進。17年には敷地内を全面禁煙とし、講演会を開いて喫煙や副流煙による健康被害を伝えた。09年に81%だった従業員の喫煙率は6%まで低下したという。

 同社は17年度に県内で初めて、経済産業省の「健康経営優良法人」に認定された。認定を受けると、外国人労働ビザの申請手続きが緩和されるなどの優遇措置を受けられる。20年度は同社を含め県内82社が認定されている。

 8月に実施した採用面接では、「健康経営」を理由に応募してきた学生もいた。永田社長は「従業員一人一人の健康を大切にする企業が求められる時代。健康経営のムーブメントを起こしていきたい」と意気込む。(平澤碧惟)