ロシア野党指導者、ホテルの部屋に「神経剤」とスタッフ

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飛行機内で急に重篤な状態となり、ドイツの病院で治療を受けているロシアの野党指導者アレクサンドル・ナワリヌイ氏(44)について、同氏のスタッフが、事件前に宿泊していたホテルの客室から神経剤の入ったペットボトルが見つかったと発表した。

ナワリヌイ氏は8月20日、ロシア・シベリア地方を飛び立った旅客機内で体調が悪化。当初はロシアの病院に運び込まれたが、ドイツのシャリテ病院に移送された。その後の検査で、神経剤ノビチョクが使われたとの結果が出ている。

同氏の支持者らは、ウラジーミル・プーチン大統領の指示で毒が使われたと主張している。一方、ロシア政府は関与を否定している。

これまでナワリヌイ氏は空港で狙われたかと考えられていたが、同氏のスタッフはインスタグラムアカウントで、「空港に向かう前、ホテルの部屋を出る前の犯行だったと分かった」と書いた。

ナワリヌイ氏は15日に初めて入院中の写真を公開した。また、同氏の広報担当キラ・ヤルミシュ氏は、本人に帰国の意思があると述べた。

ナワリヌイ氏のインスタグラムには、同氏が宿泊していたトムスクのホテルに、事件後にスタッフらが戻って撮影した映像が投稿された。

スタッフは、ロシア当局を信用していないため、毒物の証拠となるようなものを集めてドイツの医療チームに送ったという。

映像にはいくつか空のペットボトルが映っていた。手袋をした人たちが、このペットボトルなど様々な物品を袋に入れて回収する様子も映っている。

スタッフはインスタグラムに、「トムスクのホテル客室にあったこのボトルから、ドイツの研究所がノビチョクを発見した」と書いている。

ロシアの地元メディアは、ノビチョクの開発者ウラジミール・ウグレフ氏の話として、ナワリヌイ氏が生き延びたことから、経口ではなく皮ふ接触で毒物を取り込んだ可能性が高く、そのためボトルの中にノビチョクが入っていた可能性は低いと報じた。

ドイツ当局は、今回の投稿についてコメントしていない。

ナワリヌイ氏は政府の汚職を追及し、反プーチン政権派でも極めて目立った存在だった。

同氏の体調悪化をめぐっては、ドイツをはじめとする西欧諸国とロシアの外交問題に発展している。

ドイツ政府は、ナワリヌイ氏にノビチョクが使われたとする同国の検査結果について、フランスとスウェーデンの研究機関もその正しさを認めたと発表した。

17日には化学兵器禁止機関(OPCW)が、ドイツの要請で検査を行うことを明らかにした。

また欧州議会もこの日、この件について国際的な調査をEUに求める決議を採択した。

一方、ロシア政府は同氏の体調悪化について関与を否定している。ロシアでは正式な捜査は行われていないという。

神経剤ノビチョクは、元ロシア情報員セルゲイ・スクリパリ氏とその娘が、2018年にイギリス・ソールズベリーで襲われた事件でも使われた。スクリパリ親子は助かったが、廃棄されたノビチョクに接触したイギリス人女性が死亡している。

英政府は、ロシア軍情報当局が親子を襲撃したと非難。20カ国がロシアの外交官とスパイを計100人以上追放した。ロシア政府はこれについても関与を否定している。

(英語記事 Navalny's aides say poison found on water bottle