レベリオンとの接戦を制した可夢偉がPPを獲得。山下健太はクラス4番手/ル・マン24時間ハイパーポール

 第88回ル・マン24時間レースは9月18日金曜日、各クラス上位6台の決勝スターティンググリッドを決める予選2ステージ目『ハイパーポール』のセッションが行なわれ、トヨタGAZOO Racing7号車TS050ハイブリッドの小林可夢偉がLMP1クラスのポールポジションを奪った。

 前日、木曜に行なわれた45分間の予選で各クラス6番手までに入ったマシンにより、現地時間金曜11時30分から30分間で行なわれたハイパーポール。今回初となるこの試みは2019年末に概要が発表されており、新型コロナウイルスの影響によるスケジュール変更は影響していない。

 LMP1クラスは今回5台しかエントリーがないため、全車がハイパーポールに進出。これに加えLMP2、LMGTEプロ、LMGTEアマの各クラスから予選上位6台が出走し、計23台のマシンがセッションに参加を許された。

 日本勢では、残念ながら山中信哉の乗り込むLMP2のユーラシア・モータースポーツ35号車リジェJSP217・ギブソン、そしてLMGTEアマクラスのMRレーシング(CARGUY RACING)70号車フェラーリ488 GTE Evoは、ハイパーポール進出を逃している。

 セッション開始時は、気温21度・路面温度29度のドライコンディション。木曜の予選時よりも、だいぶ涼しい。このハイパーポールでは8本(2セット)のタイヤが使用できる。

 LMP1クラスの7号車トヨタTS050ハイブリッドは小林可夢偉が、8号車は中嶋一貴がステアリングを握る。木曜の予選冒頭と同じく、トヨタは日本人ふたりにハイパーポールのアタックを任せた。

 LMP1ではこのほか、レベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13がグスタボ・メネゼス、同じく3号車はルイス・デレトラズ、バイコレス・レーシングチームの4号車ENSO CLM P1/01・ギブソンはトム・ディルマンがアタックを担当する。

 前日の予選でLMP2クラス6番手とギリギリでハイパーポール進出を果たしたハイクラス・レーシング33号車オレカ07・ギブソンの山下健太も、クラスPP獲得を目指しコースインしていく。

 トヨタの2台は計測1周目、一貴が3分17秒424を記録する一方、可夢偉は3分15秒920でトップに立つ。

 トヨタの2台はクーリングラップを挟んでもう1周アタックを行なうが、なんとその間にレベリオン1号車のメネゼスが可夢偉のタイムを上回る3分15秒822をマーク!

 次のアタックで一貴は16秒台に入れるものの、レベリオンを上回ることができない。一方の可夢偉はここで15秒267をたたき出し、メネゼスを逆転。再びトップに躍り出た。

 トヨタの2台はピットに向かい、タイヤを交換。残り12分ほどのところで一貴がコースに戻っていく。

 残り5分のところで再びコースインした可夢偉は、さらなるタイム短縮、そして自らのラップレコード更新を目指してアタック。しかしこのラップでトラックリミット違反があり、レースコントロールからのアナウンスを受けてアタックを止め、ピットへとマシンを戻した。

 タイム更新はならなかったものの、可夢偉のポールポジションが確定。2番手にはレベリオン1号車のメネゼスが続き、一貴の7号車TS050ハイブリッドは3番手となった。

■一時はクラス3番手に立った山下健太

 LMP2クラスでは、最初のアタックラップでレーシングチーム・ネーデルランド29号車オレカ07のニック・デ・フリースがコースアウト。幸いダメージはなく、ピットへと戻ってタイヤを交換する。

 山下の最初のアタックラップは3分25秒896で、デ・フリース以外の5台が計測を終えた時点で3番手。直後に山下はピットへと戻ったが、その間にもアタックを続けていたユナイテッド・オートスポーツ32号車オレカ07のアレックス・ブランドルが山下を上回って3番手につける。

 セッションがちょうど折り返しを迎えるころ、ピットに留まるライバル勢を後目に、山下がいち早くコースイン。この2回目のアテンプトで山下は3分25秒426をマークし、ユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07、Gドライブ・レーシング26号車アウルス01に続く3番手へと返り咲く。

 と、ここで序盤のコースオフによりタイムが出ていなかったレーシングチーム・ネーデルランドのデ・フリースがアタックラップをまとめて2番手へと浮上。4番手に後退した山下はピットへと戻り、アタック終了となった。トップタイムはユナイテッド・オートスポーツ22号車のポール・ディ・レスタがマークしている。

LMP2トップタイムのユナイテッド・オートスポーツ22号車

 LMGTEプロクラスでは、序盤にポルシェGTチームの91号車ポルシェ911 RSRをドライブするジャンマリア・ブルーニがトップに立った。一方のアマクラスはデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSRのマット・キャンベルが首位に立つ。

 プロクラスは結局このままブルーニがポールポジションを獲得。セッション中盤にはアストンマーティン・レーシングの95号車アストンマーティン・バンテージAMRを駆るマルコ・ソーレンセンが2番手に続いていたが、終盤に入ってAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoのジェームス・カラドがソーレンセンを逆転。プロクラスはポルシェ、フェラーリ、アストンマーティンという順で、3メーカーがトップ3を分け合った。

 一方のアマクラスは、残り5分ほどのところでルーツィヒ・レーシング61号車フェラーリ488 GTE Evoのコム・レドガーがトップタイムを奪った。2番手にキャンベル、3番手にはチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSRのマッテオ・カイロリが付けている。

GTEプロクラストップのポルシェ91号車
GTEアマクラストップの61号車フェラーリ

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