MotoGP第8戦:タイム差0.1秒以内の戦いを制し、KTMのビンダーが初日総合トップ。中上は0.002秒差の2番手に躍進

 MotoGP第8戦エミリア・ロマーニャGPのフリー走行1回目、2回目がイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われ、MotoGPクラスはブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が初日総合トップ。さらに中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が総合2番手で初日を終えた。

 第7戦に続き、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでの開催となった第8戦。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は今大会も欠場となり、ステファン・ブラドルが代役としてフリー走行1回目に出走した。

 しかし、フリー走行1回目後、レプソル・ホンダ・チームが右腕の問題を理由にブラドルの今大会の欠場を発表。また、手術を受けた右腕の経過により第7戦サンマリノGPに参戦しなかったカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)は、今大会も欠場となる。

■FP1:クアルタラロがトップタイム。ビニャーレスは新マフラーを投入

 フリー走行1回目は気温26度、路面温度24度のドライコンディションで行われた。序盤、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が1分32秒390を記録してトップに立つ。2番手に続くのはファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)、3番手にはジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)。そして4番手には、トップから0.377秒差でレプソル・ホンダ・チームのアレックス・マルケスがつける。

 そして、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が新しい形状のマフラーで走行を実施。今季これまでに使用されていたものよりも長さのあるこの新しいマフラーは、9月15日にミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われたテストで投入されたものである。

 その後、前戦ウイナーのフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)がトップタイムをマーク。エスパルガロ弟が再びトップに立つも、残り時間15分を切ってモルビデリが再び1番手タイムを記録する。

 残り時間12分となったところで、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が5コーナーで転倒。リンスはセッション序盤にもハイサイドを起こし、あわや転倒というシーンがあった。リンスは転倒後、ピットに戻っている。

 セッション終盤、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が1分31秒926をマーク。この日初めて1分31秒台のタイムを記録してトップに浮上する。しかしこのタイムを、クアルタラロ、エスパルガロ弟、モルビデリが上回る。クアルタラロは残り時間1分を切って1分31秒721を記録。このセッションで何度目かのトップに浮上した。クアルタラロはこのタイムで、フリー走行1回目を制した。

 2番手にはモルビデリ、3番手にはエスパルガロ弟が続き、4番手はミル、5番手はミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)だった。中上は3番手につけるシーンもあったが、。最終的には6番手でセッションを終えている。

 今季2戦目のミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでのMotoGPとなり、9月15日にはテストも行われて迎えた第8戦。前戦サンマリノGPに比べて序盤から全体的にタイムが上がり、また、終始上位のタイムが次々と更新されるセッションとなった。

■FP2はKTMのビンダーがトップ。2番手には中上がつける

 フリー走行2回目は気温27度、路面温度41度のドライコンディションで始まった。上述のように、このセッションからブラドルが欠場。ホンダ勢はレプソル・ホンダ・チームのマルケス弟と、LCRホンダ・イデミツの中上というふたり体勢でエミリア・ロマーニャGPに臨むことになった。

 フリー走行1回目でトップタイムだったクアルタラロが、このセッション序盤でも1番手タイムを連発。一方、午前中のセッションで3番手だったエスパルガロ弟は転倒を喫した。エスパルガロ弟はピットに戻り、その後、走行を再開している。

 開始10分すぎ、中上が2番手タイムをマーク。また、オリベイラが3番手に浮上する。セッション序盤はインディペンデントチームのライダーが上位を占める展開。開始15分で、ファクトリーチームとしては、チャンピオンシップのランキングトップ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)の9番手が最上位という状況となった。

 残り時間15分、フランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)がトップに浮上。さらに残り時間8分を切って、セッション序盤に転倒を喫したエスパルガロ弟がトップタイムをマーク。エスパルガロ弟はその翌周もタイムを詰め、1分31秒630を記録。しかしそのタイムを、中上が0.069秒更新する。中上は残り時間5分でフリー走行2回目のトップに立った。

 その中上のタイムをほんの0.002秒上回ったのが、ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)だった。ビンダーはそのままトップをキープ。1番手タイムでフリー走行2回目を終えた。

 中上は2番手タイム。1分31秒630を記録し、前戦サンマリノGPでマークした自己ベストタイムを今大会の初日で更新した。3番手にはクアルタラロ、4番手にはビニャーレスのヤマハライダーふたりが続き、5番手にはエスパルガロ弟がつけた。トップのビンダーから5番手のエスパルガロ弟までのタイム差は、わずか0.1秒以内。かなり接近したタイム差となった。初日総合としてもトップ5は同じ顔触れが並んでいる。

 前戦、フリー走行から予選までを席巻したクアルタラロとビニャーレスに、苦戦を強いられたKTM勢が食い込み、さらにホンダの中上が加わった第8戦の初日。新しい勢力図での戦いが展開されることになりそうだ。

2020年MotoGP第8戦エミリア・ロマーニャGP ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)
2020年MotoGP第8戦エミリア・ロマーニャGP ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)

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