普通の保育園に通う5歳の娘が「おうち英語」で英語を話せるようになったワケ

未就園児向けの英語リトミックレッスン、幼児・小学生の英語教室を主宰しています。5歳の娘に、自宅で英語環境を作って英語教育を行う「おうち英語」を実践し、娘は英語話者とも自由に英語でコミュニケーションが取れるまでになりました。

前回では、おうち英語の基本的な考え方と、すすめのYouTubeやCD教材を紹介しました。今回は、おすすめの絵本教材や、スクールとの使い分け、注意点などを伝えしたいと思います。


おうち英語におすすめの絵本は?

英語の絵本を読みましょう!というと、「発音が悪いから」としり込みされてしまう親御さんも多いです。しかしCDやYoutubeなどの音源と併用すれば、お子さんの英語には大きな影響を与えないと思っていただいていいと思います。

なにより身近な親御さんが英語を発することで、子どもも真似をして英語を発するきっかけになるでしょう。

「The very hungry caterpillar」 Eric Carle
日本語では「はらぺこあおむし」で知られる名作絵本。日本語でもグッズが多く、身近に感じやすい一冊です。

「Where‘s Spot?」Eric Hill
日本語では「コロちゃんはどこ?」で知られる一冊。しかけをめくると色んな動物がでてきて、子ども達が夢中になります。生徒さん達もわが子らも、しかけをめくりながら「No!」を言うのが大好きです。

「Excuse Me!」Karen Katz
挨拶やお礼など、日常で使う言葉を学ぶことができる一冊。題名にある「Excuse Me」や「Sorry」「Please」など、こちらもしかけ絵本で楽しみながら学ぶことができます。

家庭でも英会話に挑戦!英語で語り掛け

親子が英語に慣れてきたら、英語の歌や動画を見て学んだ内容を、少しずつ英語を家庭内で会話として取り入れてみましょう。

いきなり「英語で全部語り掛けよう!」と張り切りすぎず、「今月はこのフレーズを使ってみよう」というターゲットを決めたり、「お風呂では英語を使ってみよう」という風にシーンを決めて少しずつ取り入れてみたりすることからスタートすると良いと思います。

手始めに、動画や絵本で出てきたフレーズを音楽にのせて使ってみることをおススメします。お風呂であれば体を洗う歌、食事をするときには食事の歌、片づけをするときには片づけの歌などを歌ってあげると、子どもも歌の意味を理解できるようになるでしょう。

どう言えばいいか分からないという場合は、語り掛け用の本を参考にされてみるのも良いでしょう。こうした本も文字で覚えようとするより、CDをかけ流しながら覚えていくのが良いと思います。

子育てフレーズ集は沢山ありますが、私が一番おススメしたいのは音源に子どもの返事が入っているものです。この音源をかけ流すことで、親御さんも子どもも表現を身に着けることができます。

気を付けていただきたいのは、英語と日本語を混ぜて子どもに語り掛けること。いわゆるルー大柴さんの「ルー語」です。

「これはappleよ。」「これはリンゴ。英語ではappleよ。」と子どもに語り掛けていると、子どもはいつまでも日本語と英語を分けることができません。「これはリンゴよ。It’s an apple.」と、大人が日本語と英語を分けて使うようにしましょう。

なお、子どもは英語を学ぶ過程でルー語になることがありますが、こちらは訂正する必要は特にありません。大人が正しく使い分けて子どもに聞かせる、ということを注意してくださいね。

おすすめの語り掛け用の本

・「ママといっしょにリピート英語」 戸張 郁子/ブラッド・ユアショット
語り掛けの始め方が分かりやすく書かれています。

・「1日5分 英語で子育て」 羽織 愛/山移 玲
おうち英語の取り組み方が分かりやすく書かれています。巻末に語り掛けの表現集があります。

スクールはアウトプット・親子のモチベーションアップの場として割り切る

すでにお伝えしたとおり、週一回のスクールだけで、英語を使ってコミュニケーションが取れるレベルまで英語力を身に着けることは難しいです。しかし、おうち英語で身に着けた英語を、アウトプットする場として利用するのは良いと思います。特に親御さんは英語が苦手で語り掛けが難しいという場合は、そうした場がある方が子どもも英語を話したいと思うようになるでしょう。

また、おうち英語を継続するのにはモチベーションの維持がなかなか難しいもの。そこで親子のモチベーションアップの場としてスクールを利用されるのは一つの手だと思っています。

親の英語力はどの程度必要か?

教室を開催していると、親御さんから「私には英語力がないから家では難しいです」と言われることが多くあります。しかし、私が拝見している限り、みなさん苦手といいながら基本的な英語は既に身に着けていらっしゃいます。

英語を話す、聞く機会があまりに少なかったので、「自分にはできない」と思い込んでいらっしゃる方が多いと感じます。お子さんと一緒に学び直すつもりで取り組んでいただきたいと思います。スクールも上手く利用しながら、お家でも取り組んでみてください。

「まずは日本語が大事だからやらない」のはもったいない

また、「まずは日本語が大事ですよね?」と言われることもあります。もちろん、親御さんとコミュニケーションをとるための母語や、今後就学時に利用する言語はとても大事です。日本人の場合はその両方が日本語になる方が多いと思いますので、日本語はしっかり育てていくべきだと思います。

ですが、それは「英語をしない」こととはイコールではありません。乳幼児期は色々な音を聞き分けることができ、かつ楽しんで言葉を学んでいきます。中高以降に英語を身に着けることが不可能とはいいませんが、本人の興味と努力が相当必要になることは、ご自身の体験からも想像がつくと思います。

「母語プラス」という考え方があり、これは母語にかける時間を減らすことなく、他の言語をプラスする形で子どもに触れされていくという方法です。一日中英語で過ごすというのではなく、英語の時間を日本語にプラスしていただければよいのではと思っています。

おうち英語で気をつけてほしいこと

おうち英語をおススメしている私ですが、実は私も幼い頃におうち英語のハシリのような教育を受けていました。幼児期に母が英語の歌やストーリーの入ったカセットテープをずっとかけ流していたのです。

全く意味がなかったとは言いませんが、残念ながら当時の私は英語を話せるようにはなりませんでした。その音声の意味が一切分からなかったし、周りの誰もその音楽を歌たっていなかったので、覚えてもどこで使うこともできなかったからだと思います。

ですので、おうち英語をする際はおうちの方が一緒に取り組み、学んでいってほしいと思います。

逆に熱くなりすぎて子どもに発語を強制したり、英語のワークを強制したりすることがいようにしていただきたい、とも思います。一度英語嫌いを起してしまうと、その後の軌道修正はなかなり困難です。子どもの興味と合った教材を探しながら、楽しんで取り組めるといいですね。

おうち英語で育った娘の現在は

今回はおうち英語をお手軽に始める方法をお伝えしました。

時にはスクールを併用しつつ、おうち英語を続けている5歳の娘は、一般的な保育園、幼稚園に通いながら英語を話すようになりました。私が英語で語り掛ければ英語で答えますし、日本語で語り掛ければ日本語で答えます。話題によっては英語の方が話やすかったり、日本語の方が話しやすかったりするよう。私に話しかけてくる言語は話題によって変わります。

幼稚園で英語を話すことは一切ないですが、オンラインレッスンの先生や英語を話すお友達など、英語を話すと決めている相手の前ではずっと英語で話しています。最近では英語でも日本語でも好きな本を読んだり、日記を書くことを楽しんだりしています。

月々1万円前後の出費であることを考えると、おうち英語は結果的にはかなり高コスパな英語教育だな、と思っています。

次回は幼児期後期に気になる、「英語の読み書き」についておうち英語での取り組みをお伝えしたいと思います。

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