やはりスポーツカーはカッコいい! 日伊英の「最強モデル」が続々登場

SUV人気全盛の時代ですが、「スポーツカーは、やっぱりこれでなきゃ!」と言えるモデルが登場しました。走ることに特化したパフォーマンスと、速さは美しいこと、と言えるデザイン、そうしたスポーツカー本来の条件を備えた世界の名車のニュースをお届けします。


日産フェアレディZプロトタイプ世界初公開

昨年、初代デビューから50年を迎えたフェアレディZでしたが、ついに7代目となる次期型モデルとも言われるプロトタイプが世界公開されました。日産の現状からすればフェアレディZ、そしてGT-Rの存続を危ぶむ声までありましたが、こうしてプロトタイプがお披露目されたのですから、まずはフェアレディZという日産にとって大切なブランドの歴史はまだまだ続きそうで、とりあえず安心しました。

サイドのウインドーのデザインにも、初代のデザイン要素が生きています。

まずはデザインですが日産自動車の内田誠CEOが「フェアレディZ プロトタイプはコンセプトカーではない。デザインはほぼ完成している」と言っていますから販売モデルもほぼこのままでしょう。1969年に登場した初代モデル、S30に対するオマージュとも言っていますから、ロングノーズ&ショートデッキという基本シルエットはそのままに、フロント部分やリア部分に初代のデザイン要素を現代風に解釈して引き継いでいるそうです。

さらに細部を見ていくとラジエーターグリルやボンネットの中央部が盛り上がったパワーバルジと呼ばれるデザイン、LEDヘッドランプのデザインなど、各所に初代を思い起こすデザイン意匠が散りばめられています。

一方、インテリアですが、こちらは初代と言うより、最新のスポーツカーの典型とも言えるデザインです。12.3インチのデジタルディスプレイを採用したメーターパネルや操作性の良さそうな計器類は初代との共通項と言うより、最新技術を満載した、最新スポーツカーとして、いかに優れたデザインやレイアウトにするかというこだわりが感じられます。

そして搭載されるのはV6ツインターボエンジンと6速のマニュアルトランスミッションを組み合わせたパワートレーンで、ボディサイズは4382×1850×1310mm(全長×全幅×全高)など、ざっくりとしたスペックだけの発表ですが、やはり気になるのは正式デビューです。これについては「発売時期は今後1年半以内」であり、販売価格も不明ということです。

このセンセーショナルなお披露目に、当初は少しばかり気持ちが浮ついていたのですが、冷静さを取り戻して考えてみると、50年以上前に登場した初代モデルのデザインが、いかに優れていたのか、ということを改めて思い知らされたのです。今年亡くなられた初代デザイナーの松尾良彦さんに「どうです、今度のZは?」と、すでに聞けなくなってしまったことは本当に残念です。そう言えば「初代はポルシェ並みの性能をポルシェの半額で手に入れる事を目指したスポーツカーだった」と松尾さんはおっしゃっていた。新世代のフェアレディZはデザインだけでなく、そんな想いも継承して欲しいなぁ、と感じました。

フェラーリの4人乗りオープンスポーツカー、ポルトフィーノM

日産フェアレディZプロトタイプがお披露目された、まさに同じ日に魅力的なオープンカーがフェラーリから発表されました。地中海を臨むイタリアの高級リゾート地にちなんだ車名、「ポルトフィーノ」に「M」の文字が与えられたモデルです。実はフェラーリの法則として、パフォーマンスを押し上げ、進化を遂げたモデルに “M”、つまり“Modificata(モディファイ)”の頭文字が与えられます。フルモデルチェンジまでではありませんが、大きく改良モデルを示しているのです。日本流に言えばマイナーチェンジと言うことになるかもしれません。

4人乗りのオープンモデル美しいスポーツカーとしての佇まい

ポルトフィーノは2017年に登場し、今回はそれの改良版というか進化モデルです。最大の注目点はMの文字が付いていますからパフォーマンスアップです。従来モデルより最高出力が20ps向上し、620馬力となったことでしょう。より強力になった3855ccのV型8気筒ガソリンツインターボですが、さらに強力になったわけです。これに合わせてトランスミッションは7速ATから8速ATへと改良されています。この8速ATの導入と、トランスミッションの効率アップによって、もちろん市街地や高速道路での燃料消費量が大幅に減少しているようです。

620馬力に8速ATと、そしてRaceモードを含む5ポジションのマネッティーノ(ステアリングに組み込まれた運転モードスイッチ)で走行モードを選択できるようになっています。パフォーマンスを見てみると0-100 km/hが 3.45 秒、0-200 km/hが 9.8 秒、最高速度は320 km/hです。よりスポーティに、よりエコロジーに、その走りの魅力はさらに進化しているはずです。

この他にも10.25インチのインフォテインメントディスプレイを採用し、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応するなど、インテリア細部の変更点があります。こちらも正式な販売価格と発売時期はアナウンスされませんでした。後輪駆動のスポーツカー本来のカッコ良さにオープンカーという魅力をトッピングしたエレガントな王道スポーツカー。もちろん自分では購入できませんが、また楽しみなフェラーリが1台、登場してくれました。

マセラティ初のバタフライドアが刺激的です。

イタリアからもう1台、スーパースポーツが登場しました。その名もマセラティMC20です。「MC」はMaserati Corse(マセラティ コルセの略)、「20」はワールドプレミアの年であると同時に、ブランドとしても新時代の幕開けを告げる年である2020年を意味しているとのことです。

一見してスーパーカーと理解できるロー&ワイドのルックスが迫力とエレガントさが両立しています。

イタリア語でレースを意味するコルセを名乗るわけですから、そのパフォーマンスも強烈です。最高出力は630ps、最大トルク730Nmを発揮するエンジンを搭載しています。実はこのエンジン、久し振りの100%マセラティ開発による新たなV型6気筒エンジンです。20年以上の時を経て、マセラティはまたパワーユニットの自社生産を再開したことになり、まさに記念すべきモデルということになるわけです。その走りですが、加速は0-100km/hが2.9秒以下、最高速度は時速325km以上を実現しています。これは車両重量、軽量なカーボンファイバー製モノコックボディのお陰で1,500kg以下という超軽量モデルであると同時に、クラス最高の630psという出力があったからこそ可能になったパフォーマンスでしょう。

そしてスタイルですがロー&ワイドのルックスが迫力満点です。一見してスーパーカーと理解できるフォルムはフロントノーズが短く、キャビン後方はボリューム感たっぷりで、ミッドシップ・レイアウトだと分かります。最大のハイライトは斜め上に開くバタフライドアでしょう。スーパーカーの必須アイテムと言えるルックスを手に入れ、見た目の刺激度は、これまでエレガントなイメージのあったマセラティとは少し違うかもしれません。この点に関しては「乗り降りの容易さにも貢献している」とのことです。

そのドアを跳ね上げて乗り込めばレザーとアルカンターラで仕上げられたインテリアが迎えてくれます。カーボンファイバーをふんだんに盛り込まれていますから、まさにエレガントさとスポーティさが両立した仕様となっています。「エンジン音だけで十分」という人もいるかもしれませんが、世界初というソナス・ファベール社のハイプレミアムオーディオシステムなど、贅沢なオーディオを楽しめるのも、100%デジタル化されたコクピットもアピールポイントと共に、今時スーパーカーの味わい方と言えます。

そして価格等の詳細ですが、今回はまだアナウンスされず、今後発表される予定です。

マクラーレン試乗最速、403km/hを誇る「スピードテール」の誇り

去る9月14日、東京の西麻布で日本初披露されたマクラーレン・スピードテール。そのうたい文句と言えば「マクラーレンの市販車史上最速403km/hを実現」です。正直、日本はもちろんですが、世界中のサーキットを探しても、この最高速度を体験することは相当に難しいかもしれません。以前、フランスのルマン24時間レースで、名物のユーノディエールと言われる6キロの直線コースで、実際に400km/h以上で疾走するマシンを目の当たりにしたのですが、目の前を通り過ぎるときにはクルマが一瞬消えるのです。これほどのパフォーマンスを実現するにはドライバーも超一流でなければ許されないでしょうし、おそらく生涯、経験できずに終わるオーナーさんがほとんどでしょう。

見るからに空力が優れたデザインです。

ボディのサイズをチェックしてみると全長×全幅×全高=5137×1970×1182mm(全長×全幅×全高)で、その全長が5メートルを超えるという、かなりの大柄ですがカーボン製ということもあり、車重は乾燥重量で1430kgと軽い。ここに乗るのは最高出力757馬力、最大トルク800N・mの4リッター、V型8気筒ツインターボと最高出力313馬力、最大トルク350N・mのモーターが組み合わされたハイブリッド・システムです。このシステムの合計では1070馬力、最大トルク1150N・mを発生するのです。ここまで来ると笑ってしまうほどのパフォーマンスです。

これほどのパワーをコントロールは運転席を中央に配置したユニークな3座レイアウトの中高に座るドライバーです。当然のことながらプロ級のスキルが必要となるでしょう。ところが「ヴェロシティーモード」と呼ばれる走行モードを選ぶと、適正なコンピュータ制御により、エンジンのパフォーマンスやエアロダイナミクスが最適化されて、403km/hの最高速度と0-300km/hの加速が13秒というパフォーマンスを安心して引き出すことができるようになると言うのです。まぁそうはいわれても地球上の公道で、この超絶凄いパフォーマンスを存分に味わえる場所などは、ほぼないでしょうが……。この超現実的な世界を経験できまさにウルトラスーパーカーといえるクルマですが、その世界観を味わえるのは175万ポンド(約2億3800万円・.税別)が支払える106人(限定)のみです。もうここまで来ると、うらやましさなど、微塵もありません。

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