鷹・周東を奮い立たせた師匠と好敵手からの言葉 悔し涙を活躍に変えた4安打2盗塁

ソフトバンク・周東佑京(右)【写真:藤浦一都】

2失策を犯して悔し涙を流した西武戦後に送られてきたLINEの主は…

■ソフトバンク 9-3 楽天(18日・PayPayドーム)

18日に行われた楽天戦でプロ入り初の4安打を放ったソフトバンクの周東佑京内野手。2盗塁も決めてロッテの和田康士朗外野手、日本ハムの西川遥輝外野手をかわして盗塁王争いの単独トップに躍り出た。

初回、先発の石橋から左中間への二塁打を放って出塁すると、中村晃の適時二塁打で先制点のホームを踏んだ。3回の第2打席でも左前安打。5回の第3打席では中前打を放つと今季19個目の盗塁を決めた。8回の第5打席でも右前安打を放ち、12球団で最速となる20個目の盗塁。その後の中村晃の適時打で6点目のホームへと生還した。

12日に行われた西武戦で2つの悪送球を犯して涙を流した。あの日以来「夜、全然寝られないです」という周東だが、思い悩む24歳を励ましてくれた1通のLINEがあった。送り主は自主トレで師事した今宮健太内野手。「お前にそういう気持ちがあって安心したよ」。文面にはそう記されていた。

今宮は言う。「あんまり感情が表に見えにくいタイプ。だから、ああ佑京にもそういうところがあるんだって」。今宮自身も3年目にエラーを犯して人目を憚らず涙し、それを成長に繋げた。飄々した印象を抱いていた後輩が見せた“悔し涙”。自主トレで面倒を見てきた先輩として、なんだか嬉しかった。この1通のLINEに周東は「凄い励みになりました」と応えた。

日本ハムの西川から受けたアドバイス「とにかく塁に出ることだけ」

この日の活躍に繋がったのは、もう1人の先輩、いや好敵手からのアドバイスでもあった。その主は盗塁王を争っている日本ハムの西川。札幌で行われていた日本ハムとの3連戦の最中のこと。打撃面での意識について周東は西川に聞いた。その答えは「とにかく塁に出ることだけをもっと考えたら良くなるよ」だったという。

この日、西川からの助言をもとに周東は意識を変えた。「なんでもいいから、四球でも、死球でも、エラーでもいいから、どうやったら塁に出られるかを考えた」。ヒットじゃなくてもいい。とにかく塁に出ようと考えた。その結果として「1打席目から感じが良かったです。前は振ろうという意識があったんですけど、今日は静かにいこうと思っていました。そこの考え方の違いはありました」という。

2人の助言に応える、そして、1週間前の“悪夢”を払拭するかのような自身初の4安打と2盗塁。悔しさを乗り越えてグラウンドに立つ周東は一歩ずつ、地道に成長を続けていく。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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