メクル第487号<旬感 V・ファーレン>MF加藤大選手(背番号13) チーム支える運動量

「運動量でチームを助けつつ、ゴールに近づくプレーを増やしたい」と話す加藤選手

 今季、J2アルビレックス新潟(にいがた)からレンタル加入し、全19試合で16試合に出場。攻守(こうしゅ)の要(かなめ)であるボランチを務(つと)めています。「前線の選手が気持ち良くできるよう、後ろからのボールを送るのが自分の役目」。そうほほ笑む表情(ひょうじょう)の裏(うら)に、チームの屋台骨(やたいぼね)を支(ささ)える自信がうかがえます。
 とにかくピッチの至(いた)る所に顔を出し、パスをもらっては前につなぎます。「うまくボールが循環(じゅんかん)するよう、パスを回すだけじゃなくて相手の守備(しゅび)の目線がひっくり返るようなパスを心掛(こころが)けている」そうです。
 試合ではそれほど目立つ存在(そんざい)ではありませんが、“数字”はひときわ目立っています。それは豊富(ほうふ)な運動量。夏の暑い時期でも1試合の走行距離(きょり)は約12キロでチームトップ。新潟にいた頃(ころ)の2016年ランキングでは、試合ごとのJ1ベスト20のうち半分が加藤選手の記録でした。
 「『走れればいい』というわけではないけど、量でチームを助けたい。前の選手が伸(の)び伸びプレーしてくれるのがやりがい」。こぼれ球への反応(はんのう)や、相手のカウンターを遅(おく)らせる素早(すばや)い守備も高く評価(ひょうか)されています。
 プロとして11年目を迎(むか)えた今季は、もう一つレベルアップを目指しています。「一歩前線へ、ゴールへ、近づくプレーをもっと増(ふ)やしていきたい」。それを体現するように、9月5日のツエーゲン金沢(かなざわ)戦では、ペナルティーエリアの中まで入って仕掛(しか)け、FW玉田圭司(たまだけいじ)選手の得点を演出(えんしゅつ)。課題を克服(こくふく)しようとする姿(すがた)がありました。
 中学までは全国的に無名の選手でした。高校で入った強豪(きょうごう)の三菱養和(みつびしようわ)SCユース(東京)で、周りのレベルに追いつこうと向上心が芽生えました。U-17、18、19と各年代の日本代表に選出され、高校を卒業してすぐに当時J1の新潟に入りました。
 でも、簡単(かんたん)に出場機会は得られず、他チームへの期限(きげん)付き移籍(いせき)も経験(けいけん)。転機は再(ふたた)び新潟に戻(もど)った2015年でした。「誰(だれ)よりも走る! ボールに絡(から)む!」と誓(ちか)い、練習から自分の良さを最大限(さいだいげん)に生かす努力をしたそう。それが、今もしっかりと生きています。
 だから、いつも胸(むね)には「努力は裏切(うらぎ)らない」の言葉があります。どれだけ苦しくても走り切る。足を伸(の)ばす。ほんのちょっとのところをさぼらない-。その思いを、ピッチで見せ続けています。

◎プロフィル

 かとう・まさる 1991年5月7日生まれ。福岡(ふくおか)県出身。U-17、18、19日本代表。2010年に新潟入りし、愛媛(えひめ)-新潟-福岡で活躍(かつやく)。プロで3度目となる背番号(せばんごう)13は「縁(えん)が深く気に入っている」。動画サイトを見てギョーザなどを作る料理男子。175センチ、72キロ。29歳(さい)

 


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