新型コロナ「人工抗体」の迅速な作成に成功 名古屋大の研究グループ

名古屋大学の研究グループが18日、独自開発した手法で新型コロナウイルスの体内での増殖を妨げる「人工抗体」の迅速な作成に成功したと米科学誌に発表した。この人工抗体は、新型コロナウイルスだけに特異的に結合することが分かっており、検査精度の向上や新しい治療法の開発に寄与する可能性がある。

「TRAP提示法」を応用し4日間で作成に成功

米国科学振興協会(AAAS)発行の科学誌「Science Advances」の電子版に成果を発表したのは、名古屋大学大学院工学研究科 生命分子工学の村上裕教授、名古屋医療センター臨床研究センターの岩谷靖雅 感染・免疫研究部長らの研究グループ。村上教授がかねてから開発していた、標的とするタンパク質に結合するかを1分子単位で高感度に同定、定量する技術「TRAP提示法」を新型コロナウイルスを対象に応用し検証したところ、他の手法では数週間かかるところを、4日間で同定と作成に成功したという。

またこの過程の中で発見した物質は、既存のコロナウイルスには反応しないが、新型コロナウイルスには特異的に結合する性質を持つことも発表した。実際の患者の鼻咽頭サンプルを使用して確認しており、このことは臨床応用の可能性を示すものだとしている。

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