共同口座で貯まる仕組みをつくるには?待ったなしの14歳年上夫との将来設計

今回の相談者は、28歳、会社員の女性。14歳歳上の男性と入籍した相談者。現在は共同口座で生活費を管理していますが、出産や住宅購入に向けてどのようにマネープランを組めばよいか悩んでいるといいます。FPの氏家祥美氏がお答えします。

14歳年上夫との将来設計の着手の仕方がわからないです。

9カ月の同棲を経て、入籍をしました。その間、共通口座に毎月10万円ずつを入金、その口座から家賃・光熱費を支払い、残りは貯蓄という形になっています。それ以外の生活費については、折半としていて、必要なときに各自で出し、月の終わりに家計簿アプリに入力、支払いがとんとんになるよう、以降の買い物時に少なく支払っている方が会計をするようにすることで調整をしています。

残りの各自の収入の中でそれぞれ携帯代、保険代、娯楽費、プレゼント代、貯蓄をしており、現在は共通用、夫用、私用とお財布が3つあるような形になっています。

今回の入籍を期に、将来の子どもを授かる、住居購入等をライフプランの中に組み込んでいきたいです。14歳年上の彼のことを思うと、子どもや住宅ローンの検討を含め、早めに現実的な案を考えて、いまからその準備に向け実践していきたいと考えています。

今回の収入・支出については、共通のお財布部分についてに記載となります。今後のライフプランの中でいま共通口座に入金している額をどの程度あげれば問題ないか、はたまた、3つの財布の共通化をしなくてはいけない状況なのか等、アドバイスを頂きたいです。

【相談者プロフィール】

女性、28歳、会社員、既婚

同居家族について:

私(相談者)

・職業:システム開発技術者

・給与:手取月収41万、手取ボーナス年間平均70万 現在10万円➡20万円

夫42歳

・職業:システム開発技術者

・給与:手取月収平均25万、手取ボーナス年間平均50万 現在10万円➡15万円

●子どもなし

●私は情報収集をし、夫の年収を知っていますが、お互いに収入を公開しているわけではありません。

●夫のお義父様はすでに他界、お義母様(80)は存命です。夫は長男のため、介護や病気等で援助する必要がでてくるかもしれません。

●私の両親は存命ですが、姉と、なにかあれば姉夫婦が金銭的な面で面倒をみると話をしています。

住居の形態:賃貸

毎月の世帯の手取り金額:28万円

年間の世帯の手取りボーナス額:0

毎月の世帯の支出の目安:19万3,000円

【毎月の支出の内訳】

住居費:12万1,000円

食費:4万円

水道光熱費:1万2,000円

その他:2万円

【資産状況】

毎月の貯蓄額:6万7,000円

ボーナスからの年間貯蓄額:0

現在の貯蓄総額:77万円

現在の投資総額:0

現在の負債総額:0


氏家: こんにちは。ファイナンシャルプランナーの氏家祥美です。14歳年上の男性と結婚したばかりということですね。ご結婚おめでとうございます。

いざ、現実的な結婚生活が始まると、家計管理の仕方で悩んでしまうという方は多いもの。ご相談者さんも、ふたりのいまの家計管理の仕方でやっていけるのか、将来の子どもの教育や住宅購入といったライフプランも踏まえて考えたいという事でご相談をいただきました。さっそく、共働き家庭の貯まる仕組みを一緒に作っていきましょう。

現在の家計の問題点は「共通口座」が小さいところ

同棲時代から、月々10万円ずつを「共通口座」に入金して、その口座から家賃や水道光熱費を支払っていたのですね。現在の共通口座の収入支出はこんな感じになります。

「共通口座」
●収入:20万円
・10万円×2人=20万円

●支出:19万3,000円
・住居費:12万1,000円
・食費:4万円
・水道光熱費:1万2,000円
・その他:2万円

ただし、結婚後の暮らしはそんなに単純ではありません。家具や家電を購入することや、親せきや友人とのお付き合いもあるでしょう。二人で遊びに出かけたり、外食をしたりすることもあると思います。そんな風にその他の支出があるときには、「必要な時に各自で出し」て、月末に家計簿アプリに入力して、その後の支出で調整しています。

そして、携帯代、保険代、娯楽費、プレゼント代、貯蓄などについては各自の支出となっていて、それぞれ「夫用」「妻用」のお財布で管理しています。

現在の家計管理の問題点は、どれも明確な予算が決まっていないことにあります。「共通口座」の予算はいちおう決まっているものの、追加の収入や支出があることを前提としていますし、そのたびに夫や妻の口座も影響を受けています。

お互いが自由に管理する「夫用」「妻用」の口座があるのは構いませんが、今後は現在よりも「共通口座」のサイズをいまよりも大きくして、将来のための貯蓄と、その他の支出を可視化することが重要です。

出産と住宅購入を5年後に想定してみる

現在、ご相談者さんは28歳ですが、ご主人は42歳。14歳の年の差があるご夫婦という事で、ご相談者さんは出産やマイホーム購入についても、早めに考えておきたいという事でしたね。そこで、5年後に第1子の出産とマイホーム購入を両方とも実現すると仮定して、ざっくりと未来年表を作ってみると、このようになります。

いかがでしょうか。具体的に年齢で見ると、現実的に考えることの重要性がわかるのではないでしょうか。

住宅購入を考える場合には、一般的に頭金として物件価格の2割の金額を用意するとよいとされています。頭金があるほどローンの選択肢が広がりますし、万が一、購入後に住宅を手放すことになっても、借入が少ないほうが売却しやすくなるからです。

仮に3,500万円の物件を買うとした場合、その2割は700万円、1年あたり140万円を5年間で貯める計算になります。

年間140万円の貯蓄をするために、毎月12万円ずつ貯蓄をしていきましょう。現在、ご相談者さんの方が収入が高いようですから、ご相談者さんが毎月8万円、ご主人が4万円ずつ積立していくのではいかがでしょうか。二人合わせて月額12万円、年間144万円を積立すると、5年間で720万円が貯められます。

教育資金は住宅購入のあとで集中して

もう一つのライフイベント、お子さんの教育資金については、住宅購入が終わってから集中的に取り組んでいけばいいでしょう。お子さんの教育資金としては、大学に入学する18歳までに500万円を目途に準備していきます。

住宅購入後も今まで通りに12万円の貯蓄を継続し、そのうちの一部を教育資金用にしましょう。毎月3万5,000円ずつ積み立てすると、1年間で42万円、12年間で504万円が貯められます。残った8万5000円については、住宅ローンの繰り上げ返済と老後資金用に分けて貯めていきましょう。

共働き夫婦の貯蓄は「可視化」「自動化」がポイント

ライフイベントのための必要貯蓄額が見えてきたところで、共働き夫婦の貯蓄方法についてお話をしていきます。

夫婦別財布にしている共働き夫婦が、新たに夫婦共通の貯蓄を作る場合には、「可視化」と「自動化」が重要になります。給与口座から自動引き落としで積み立てする仕組みを作りましょう。

最も手軽なのが、給与振込口座のある銀行等で「自動積立定期預金」を申し込む方法です。一度申し込みを済ませれば、毎月確実にお金を貯めることができます。勤務先に財形貯蓄や社内預金の制度がある場合には、そうした制度を利用してもいいでしょう。

「給与口座だと可視化しにくい」「見せるのに抵抗がある」という場合には、証券口座を開いてつみたてNISAに申込み、投資信託で貯めていくという方法もあります。給与振込口座と切り離せるため、給与口座を見せたくない人にも使いやすいでしょう。

夫婦共通のライフイベント貯蓄は、ストレスなく貯められて、お互いがいつでも見られるようにしておくことが重要になります。資金の目的と、お互いの性格や状況にあった方法で仕組みを作っていきましょう。

生活費は2万円ずつ上乗せを

最後に、生活費についても触れておきます。現在、生活費を10万円ずつ出し合っているようですが、毎月足りない分を月末に追加徴収して精算するのは、あまりスマートではありません。今後は、お互い12万円ずつ出し合うようにして、現在の生活費予算を24万円に増やしてはいかがでしょうか。

一見、お互いの負担が増えますが、生産の手間がいらなくなりますし、お金が余ればそのまま生活費口座にプールしておき、旅行や記念日のお祝いなどに使うとよいでしょう。

今回の見直しでは、将来のための積み立てを始めることと、生活費負担を増やすことをご提案しました。毎月、お互いが自由に使える予算は大きく減少しますが、夫婦のお金と個人のお金をはっきりと区分けしやすくなります。夫婦の未来のお金も可視化できるようになり、生活設計が立てやすくなるでしょう。

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