装備充実で159万8000円、MAZDA2特別仕様車の熟成度はどれくらい?

マツダのコンパクト5ドアハッチバックである「MAZDA2」。このクルマに2020年5月に設定された特別仕様車が「スマートエディション」です。単なる特別仕様車と思いがちですが、実は充実した装備をプラスながら価格を抑えたお買い得モデル。さらにマツダ車のこだわりである「走りの質感」なども大きな魅力と言えます。


元々は“デミオ”だった

MAZDA2は元々デミオの車名で販売されていました。デミオ自体は2014年9月のデビューですが、2019年7月段階ですでに5年が経過していたこともあり、このタイミングでグローバルで販売される車名に統一しました。

ただ車名が変わったことに関しては「モデル末期のお色直しでは?」という声も聞かれます。

しかし、それは大きな勘違いです。現在のマツダ車が多くのファンを掴んでいる理由は「その時代にあった最新の技術を投入する」という考えでクルマの性能を磨き込んできた点にあります。

業界も注目するマツダ流アップデート

今回、MAZDA2に車名変更するにあたり、エクテリアやインテリアの意匠も変更、またサスペンションを新型に変更したり、インフォテインメントシステムである「マツダコネクト」にAppleのCarPlayやGoogleのAndroid Autoを対応させています。また上位グレードには「運転席電動パワーシート」を採用、さらにこれにはドライビングポジションメモリー機能までプラスするというクラスを超えた仕様になっている点も大きな魅力です。

これが本当のタイムレスデザイン

今回、MAZDA2にはワイド感やエレガントさを追求した造形になっています。目立つ部分では新デザインの16インチや現在のマツダ車の多くに採用されている大型のフロントグリルなどがありますが、基本造形はデミオを継承しています。しかしデミオ時代からすでに6年が経過しているのにそのデザインには古さすら感じません。

スーパーUV&IRカットガラスの搭載で快適性は大きく向上します

現在販売されているマツダ車には「魂動デザイン」と呼ばれるデザインフィロソフィーが息づいています。人の手によりクルマのデザインに魂を与えるという意味でもありますが、MAZDA2も時間という枠を超えた飽きの来ないデザインが魅力、言い換えれば「タイムレスデザイン」であることがわかります。

価格アップはわずか5万3600円

今回設定された「15S スマートエディション」は15SというグレードのAT仕様をベースとしています。

15Sにはマツダがこだわっている6速マニュアル車も設定されていますが、スマートエディションには設定はありません。ただMAZDA2のATは6速仕様でこのクラスに多い無段変速機であるCVT車に比べダイレクト感のある爽快な走りを楽しむことができます。

15Sの車両本体価格は154万4,400円、それに対し15Sスマートエディションは159万8,000円、その差は5万3,600円です。ではこの価格差の中にどれだけの装備がプラスされているのでしょうか。

安全装備をさらにレベルアップ

今回の特別仕様車のコンセプトは元々充実していたMAZDA2の安全装備などをさらにレベルアップさせながら価格を抑え、買い得感を高めた点にあります。

ベースとなる15Sには走行中の衝突回避をサポートする「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」や、車線変更時の後方確認を支援する「ブラインド・スポット・モニタリング」、さらにヘッドライトもLEDタイプが標準装備され安全装備の充実度は非常に高いことがわかります。

スマートエディションにはこれらにプラスして駐車時や低速走行時に見えない部分の危険察知を支援する「360°ビュー・モニター」を追加装備しています。

「360°ビュー・モニター」は4つのカメラが周辺の映像を撮影し、これを標準装備の7インチディスプレイで確認できます。さらにリアだけでなくフロント側にもセンサーをプラスすることで狭い道での駐車をサポートしてくれます。

15Sの場合、この装備にプラスして自動防眩ルームミラーがセットで6万500円でメーカーオプション設定されます。自動防眩ルームミラーはスマートエディションには装備されないので単純な価格差は導きだせませんが、より利便性が高く、レベルの高い安全装備が標準化されている点は大きな魅力と言えます。

なんと10万円以上の装備を標準装備

安全装備はもちろんですが、スマートエディションの最大のポイントは15Sでメーカーオプション設定されていた装備を実質価格上昇分無しで装備している点です。

リアシートも上位グレード同様の6:4分割可倒式に変更されます

15Sには「ユーテリティパッケージ」として
①リアシート6:4分割可倒式シートバック
②ダークテインテッドガラス(リアドア/リアゲート)
を3万3,000円でメーカーオプション設定。

また「コンフォートパッケージ」として
③スーパーUVカットガラス(フロントドア)
④IRカットガラス(フロントガラス/フロントドア)
⑤フルオートエアコン(花粉除去フィルター付)
⑥アドバンスドキーレスエントリーシステム(アンサーバック機能付き、リアゲート連動)
が7万1,500円でメーカーオプション設定されます。

どの装備も快適性を高めるもので、特に車内の温度上昇を抑制するIRカットガラスや紫外線を99%カットするスーパーUVカットガラスは日焼けに対して効果があることからも現代では必須装備になりつつあります。

その点でも上記の①~⑥までの装備を15Sに装着すると10万4,500円も車両価格がアップしてしまうのですが、スマートエディションはこれを標準装備化、実質的には丸々この分がお得になるわけです。

また細かい部分ですが、スマートエディションにはラジオ用のアンテナにスタイリッシュなシャークフィンタイプを特別装備しますが、これも他のグレードから計算すると1万1,000円差額がありますのでこの分もお得となります。

実際ディーラーで話を聞いても現在はやはり15Sより圧倒的にお買い得なスマートエディションを勧めているそうです。

上位仕様の特別仕様車もお買い得

今回のスマートエディションには上位グレートとして「15S プロアクティブ スマートエディション」が設定されています。

車両価格はFF車で179万8,000円とスマートエディションよりも20万円高くなります。

一方でベースグレードとなる「15S プロアクティブ」と比較した場合の価格差は13万4,800円ですが、この特別仕様車には高速道路などで前走車を検知しながら定速走行が可能な全車速対応のACC(マツダではMRCCと呼びます)やレーンキープ・アシスト・システム、ハイビームコントロールシステム、LEDヘッドライトも対向車や先行車を判断して照射範囲を自動的に変化させるアダプティブタイプを標準装備化します。

先進安全装備の中でも高い性能を持つこれらをやはりベースグレードに装着すると、前述した360°ビューモニターとの組み合わせで約17万円出費が増えます。つまりこのグレードの場合は実質4万円弱の増額で17万円分のオプションが装着されることになります。

高速道路に乗る機会が多ければ「15S プロアクティブ スマートエディション」をオススメしますが、やはり「15S スマートエディション」は昨今車両価格が高めに推移している中、車両本体価格を抑えながら高コスパという点でもオススメできる魅力的な1台と言えます。

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