コロナ禍に問う 芸術の無限の力 諫早・山下画廊でコレクション展 22日まで

田崎廣助の「阿蘇山」の魅力を語る山下社長(左)=諫早市、山下画廊

 「アートが持つ無限の力を信じて」をテーマに、諫早市東小路町の山下画廊でコレクション展が開かれている。新型コロナウイルスの影響で各種鑑賞会が中止に追い込まれる中、換気などの感染対策を実施した上で、近現代の優れた作品が会場を彩っている。
 1959年創立の同画廊は、九州を中心に活動する画家の発掘をはじめ、美術品を販売。しかし、3月以降、主力の百貨店での取り扱いが減少。集客が見込める展覧会も控えてきた。
 「これまで芸術は過酷な時、内面から湧き出す力から生まれてきた。一流の表現を通して、今を生きる意味を考え、議論を深め合う機会にできたら」-。山下博之社長はそう思い立ち、販売を行わず、鑑賞に特化した展覧会を開くことにした。
 会場には、所蔵する日本画、洋画、版画約25点を展示。同市ゆかりの野口彌太郎の代表作「那智の滝」や山岳画家として知られる田崎廣助の「阿蘇山」をはじめ、有明海を描写した牧野宗則の木版画や九州の自然を題材にし続ける石山義秀の洋画などが並ぶ。各作家が大事にしていた言葉も展示され、作品に込められた思いに触れることができる。観覧無料、22日まで(午前11時~午後5時半)。

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