鷹の連勝を止める一因となった“走塁ミス” 工藤監督の語る二塁走者の「セオリー」とは?

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

「三遊間、ショートに行ったのは基本は走らないというのは野球界のセオリー」

■楽天 3-1 ソフトバンク(19日・PayPayドーム)

ソフトバンクは19日、本拠地PayPayドームで行われた楽天戦に1-3で敗れて、連勝が3でストップした。1点ビハインドの6回に1死二塁のチャンスを作ると、代わった酒居から柳田が右前適時打を放って同点に追いついたものの、直後の7回に3番手の高橋礼が先頭の田中和に四球を与え、浅村の適時打で決勝点を奪われた。

そして手痛いミスが8回に出た。先頭の中村晃が四球を選んで出塁。続く柳田は空振り三振に倒れたものの、代走の上林が盗塁を決めて、同点の走者が二塁へと進んだ。8回1死二塁のチャンス。ここでデスパイネが放った打球は三遊間へのゴロを放った。

この打球で代走の上林が三塁を狙って飛び出し、挟殺プレーとなって憤死。さらに挟殺の間に二塁を狙ったデスパイネも刺されてダブルプレーとなり、反撃ムードが萎んだ。結果的には、これが痛恨のワンプレーとなった。

試合後、工藤公康監督はこの上林の走塁について、このように語っていた。

「もったいないっちゃもったいないんですけど、先の塁をというのも分かる。ま、こういう時にセオリーを出していいかというのはあるんですが、あの打球なら行けると思ってランナーも走るんでしょうし。暴走と好走は紙一重とも言いますし、あの瞬間は選手に判断を委ねるしかない。僕らは三遊間、ショートに行ったのは基本は走らないというのは野球界のセオリーですけど、それで打球が弱ければ走れたりもする。今日はそれがうまくいかなかったと思います」

工藤監督の言うセオリーとは基本こうだ。二塁走者は三遊間の打球に対し、自分より前方(進塁する三塁方向)に飛んだ打球であればストップ、後方であればゴー、というもの。足の速さや打球の速度などによって例外はあれど。これは二塁走者の定石と言える。

この日のデスパイネの打球は上林が進塁する前方に打球が飛んだ。この指揮官の言う“セオリー”で言えば、ストップすべきところだったが、三塁を狙い上林は挟殺された。工藤監督は責めることはしなかったが、勝敗を左右する痛いミスだった。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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