「縄文遺跡群」イコモス現地調査 青森県などコロナ対策に苦心/随行絞り、リモートも

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三内丸山遺跡を視察するイコモスの専門家(右から2人目)ら。現地調査は、随行者を含め10人程度に限定して行われた=4日
1年前の現地調査リハーサルでは、専門家役を取り囲むように自治体関係者ら20人余りが随行していた=2019年9月1日、三内丸山遺跡

 新型コロナウイルス流行の中、4~15日に行われた「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録に向けた現地調査では、縄文の世界的価値や遺跡を支える人たちの熱意を伝えることと、感染防止策をどう両立させるか-という難題が突きつけられた。国や青森県などの関係者は、随行者を絞り込み、リモートの活用、公共交通機関の利用を最小限にするなどして対応。担当者は「十分説明できた」「ベストは尽くした」と強調した。

 調査初日の4日、遺跡群の構成資産の一つ、三内丸山遺跡(青森市)を訪れた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)の専門家たち一行を、カメラとマイクを構えた2人が追い掛け続けた。

 映像は、インターネット経由で一部関係者にリアルタイムで配信。国内で登録した世界文化遺産は19に上るが、現地調査でのリモート形式導入は「初めて」(文化庁・鈴木地平文化財調査官)だという。

 昨年と今年の2度のリハーサルでは、専門家役を囲むように20~30人が一団となって随行していた。ただ本番では感染防止のため、全17遺跡で随行者を県世界文化遺産登録推進室の岡田康博室長や鈴木調査官ら10人程度に限定。一部関係者は映像を通じて随行する形を取った。

 遺跡の保護などに関わる地域住民も直接参加できなかったが、リモートで専門家と面会。関係者によると、御所野遺跡(岩手県)では、地元の小学生が専門家と話したという。

 資産保護に住民がどう関わっているかは、現地調査で重視されるポイントの一つ。過去の現地調査時のような専門家と地域住民との直接対話ではなかったが、同庁文化遺産国際協力室の石橋晶(あき)室長は16日の記者会見で「皆さんの思いは伝えていただけた」と語った。

 さらに、人との接触をできるだけ避ける観点から、公共交通機関を使うのは青森県と北海道の間のみとし、そのほかは車で移動した。これまで関係者は、17遺跡からなる縄文遺跡群の価値を分かりやすく伝えられるルートを模索してきたが、最終的なルート設定には「コロナの対応が一番影響した」(石橋室長)という。

 こうした一連の対応は、イコモスからの要請ではなく、日本側で感染状況を考慮して決めた。現地調査には看護師も帯同し、健康管理に当たった。