WRCトルコ:最終日に大波乱! 前日4番手のエバンスが逆転優勝。凶悪ステージが上位陣に牙をむく

 9月20日、WRC世界ラリー選手権第5戦トルコは競技最終日・デイ3のSS9~12が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が同日4番手スタートから逆転優勝を飾った。

 大きな石が多数転がり凹凸も激しい荒れた路面と、高い気温の影響でWRCシリーズ戦のなかでももっとも過酷なラリーといわれるラリー・トルコの競技3日目はSS9~12、計4本のステージで争われた。

 この4ステージの内、SS9/SS11に設定された“チェティベリ”は今大会最長38.15kmのロングステージとなっており、ステージ数は少ないながらも最終日に順位が変動する可能性も予期されていた。

 迎えた20日、その可能性は周囲の予想を大きく上回るかたちで現れる。この日のオープニングとなったSS9では、総合首位で最終日を迎えたティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)をはじめ、総合2番手につけていたセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)、総合3番手セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)のトップ3が相次いでタイヤのパンクに見舞われ、大きくタイムを失ってしまう。
 
 さらに、トヨタのカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)や、Mスポーツのエサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)のマシンにもパンクが発生し、各ドライバーは1分~2分のタイムロスを被ることとなった。
 
 また、総合6番手につけていたテーム・スニネンは左リヤダンパーにダメージを受け、競技続行が不可能に。ヒュンダイ2Cコンペティションのピエール‐ルイ・ルーベ(ヒュンダイi20クーペWRC)もメカニカルトラブルのためSS9でリタイアとなっている。
 
 一方、総合4番手で最終日のラリーをスタートしたエバンスは、このステージを無傷で走破。ヌービル、ローブ、オジエのトップ3を逆転し総合首位に立つと、総合2番手となったオジエに46.9秒ものリードを築いた。

ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) 2020年WRC第5戦トルコ

 
 続くSS10“マルマリス”は一転して全長6.22kmの今大会最短ステージだ。ここでは首位の座を奪われたヌービルが維持の走りでステージ優勝を飾ると、総合順位でオジエを逆転し2番手に浮上する。

 昼のサービスを挟んでふたたび迎えたロングステージ“チェティベリ”、再逆転での今季2勝目を狙うベルギー人は、このステージでもベストタイムを記録してみせ首位エバンスとのギャップを36.9秒に縮めた。

 だが、このタイム差はイギリス人ドライバーの今季2勝目に向けては充分すぎるリードだった。

 最終パワーステージではヌービルが3SS連続となるステージ優勝を果たしたものの、最終ランナーとなったエバンスもオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)に次ぐ3番手タイのタイムでフィニッシュ。この結果、TOYOTA GAZOO Racing WRTのエバンスが35.2秒の大量リードを持ってシーズン2度目の総合優勝を飾ることとなった。

 総合3位、最後の表彰台はSS9でのパンクで4番手に順位を落としていたローブが獲得。最終日のサービスまで3番手につけていたオジェはSS11でこの日2度目のアクシデント、エンジントラブルによって手痛いリタイアを喫している。

 ロバンペラが総合4位、5位以下はガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)、ラッピと続き、WRC3クラスに参戦しているカイェタン・カイェタノウィッチ(シュコダ・ファビア・ラリー2)が総合7位、WRC2クラスのポンタス・ディデマンド(シュコダ・ファビア・ラリー2)が総合8位に入った。

 WRCの次戦イタリアは地中海に浮かぶサルディニア島が戦いの舞台だ。今戦に続くグラベル(未舗装路)ラリーとなる第6戦は11月8~10日に行われる。

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