戦争体験「伝えることが使命」 長崎と米ハワイの若者 オンライン意見交換会 真珠湾攻撃の生存者証言 被害と加害 悲惨さ共有

真珠湾攻撃の生存者(画面)の証言をオンラインで聞くなどした意見交換会=長崎市平野町、同市平和会館

 長崎と米ハワイの若者が20日、真珠湾攻撃や米国の平和教育をテーマにオンラインの意見交換会を開いた。真珠湾攻撃の「生存者」も参加し、長崎の若者に「ハワイでは子どもなどの民間人が多く亡くなった。私は(自身の)体験を若い世代に伝えることが使命であり、責任だと思っている」と涙ながらに訴えた。
 意見交換会は、若者が原爆の悲惨さや平和の尊さを学び、発信する本年度の「青少年平和交流事業」(長崎市主催)の一環。今年8月に予定していたハワイへの高校生派遣事業が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため、代替事業として企画した。長崎側の会場となった同市平和会館には活水高の生徒2人や爆心地から1.8キロの長崎師範学校の寮(現文教町)で被爆した築城昭平さん(93)らが出席。その他、自宅の端末からも若者たちが参加した。
 米ハワイ側からは、1941年12月の日本軍による真珠湾攻撃当時6歳だった生存者の女性や高校生などがオンラインで参加。日米の参加者が、真珠湾のアリゾナ記念館の展示を収録した映像を視聴した。
 生存者の女性は当時、早朝に両親と弟と一緒に真珠湾そばの自宅にいたところ、接近する飛行機を目撃。車に乗り込み、サトウキビ畑に隠れたという。畑の中から日本軍の攻撃を目にした体験を語った。
 米国の高校生ら5人は、現地の平和教育の現状を発表。「長崎への原爆投下を学校で学んだことはない」「放射能の影響について学んだことがある」「米国の平和教育は偏りすぎている。双方の歴史を学ぶべきだ」などの声が上がった。
 活水高3年の山口雪乃さん(17)は「(ハワイの歴史など)加害と被害の両面を学ぶことができた。今後は長崎の平和教育が向上するような、いろいろな国や立場の人が(平和などを)語り合う場をつくりたい」と意気込んだ。築城さんは「戦争の悲惨さを共有し、双方で和解することが戦争を無くす力になる」と交流に期待を寄せた。

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