《増える外国人》労働者 コロナ禍で解雇や休業 生活困窮

©株式会社上毛新聞社

貸付制度の相談で訪れた外国人(手前)に対応する職員=大泉町社会福祉協議会

 「貯金もなくなり、生活が苦しい」。群馬県大泉町で高校生の子どもと2人で暮らすペルー人女性(41)は今月、切迫した思いを胸に、町社会福祉協議会を訪ねた。

■想像以上の多さ

 女性は県内の自動車部品メーカーで、派遣社員として仕分けや梱包(こんぽう)の仕事に従事していた。しかし、新型コロナウイルスによる業績不振のため7月末で解雇された。社会福祉協議会が窓口となる失業者らへの貸付制度「総合支援資金」に、月20万円を3カ月間、計60万円を申し込んだ。

 新型コロナの影響による外国人の経済的困窮は、市町村ごとの総人口に占める外国人比率が19.01%(8月末現在)と県内1位の同町で色濃く現れている。仕事を失ったり、仕事量が減ったりしたことで当面の生活資金の確保がままならない中、官民による支援の手が差し伸べられている。

 同協議会によると、3月25日から8月末までに2459件の相談があった。同期間の総合支援資金の申込件数は232件で、日本人が56件に対し、外国人は176件。休業者らが対象の「緊急小口資金」は、1142件のうち外国人が938件と8割を占めている。多くのブラジル人の相談に応じるため、6月から約2カ月間、ポルトガル語の通訳を増員。担当者は「9月に入ってようやく峠は越えたが、想像以上の多さだった」と話す。

■苦渋の車中泊

 民間レベルの生活支援も進む。同町西小泉に6月、新型コロナの影響で仕事を失った外国人労働者を支援する施設「リスタートコミュニティー支援センター」が開設された。事務局の中村マイケルさん(51)によると、現在、約10人のブラジル人が食事や仕事のあっせんなどの支援を受けている。11月以降、宿泊の受け入れも始まる見通しだ。

 支援を受けるフランシスコ・ボルバさん(37)は22歳で来日後、町内に住み続けてきた。大工として働き、仲間からは「仕事が丁寧」と信頼が厚い。コロナ禍以前は住宅のリフォームなどで「休みがないほどの仕事があった」という。だが、最近は月の半分近くが休みになることもあり、町内の家賃4万5000円のアパートを引き払い、仕事で使う軽トラックで寝泊まりしている。

 大工の“命”である工具は高額なものが多く、買い替えるには「削れるものを削るしかない」。車中泊という苦渋の選択をし、生活が苦しい状況は続くが「仕送りをしないと新型コロナで仕事がない母親たちは生きていけない」と、母国で暮らす家族のために毎月5万円の送金を続けている。

 今は仕事が終わった後、支援センターの仲間とテレビを見てくつろぐ時間が何より幸せという。「また仕事をたくさんするためにも、早くコロナが落ち着いてくれたら」。切実な願いだ。

 【メモ】日本国際交流センターが今年5月に都道府県と政令指定都市を対象に行った調査で、新型コロナウイルス感染拡大により、71%が外国人住民からの相談や問い合わせが増えたと回答。相談と問い合わせの内容は、(1)公的な生活援助・支援金制度(2)在留資格関連(3)失業などの労働問題―の順に多かった。