27年前の今日(9/21)はニルヴァーナの最後のアルバムが発売された日

1990年代ロックのひとつの方向性を決定づけることになったアルバムが、1993年9月21日にリリースされた。そのアルバムとはニルヴァーナの『In Utero』。スティーヴ・アルビニをプロデュースに迎え、ミネソタ州のスタジオでレコーディングされたこのアルバムは、リリースの翌週にイギリスのチャートでいきなり首位をマーク。その結果、ミート・ローフの『Bat Out Of Hell II』は、それまで守り続けていた首位の座を明け渡すことになった。

『In Utero』はアメリカでも同じような経過をたどり、リリースから1週間で18万枚を売り上げた。そして米アルバム・チャートでガース・ブルックスの『In Pieces』に取って代わり首位を獲得。アメリカではクワドループル・プラチナ・アルバム(400万枚)に認定されている。

『In Utero』は、ニルヴァーナを一躍大スターにした1991年の出世作『Nevermind』に続くアルバムだった。『Nevermind』は、アメリカではテン・タイムズ・プラチナ・アルバム(1,000万枚)に認定され、ヒット・チャート圏内に留まった期間は合計5年にも及んでいる。

とはいえ『In Utero』に、「Heart-Shaped Box」「All Apologies」「Pennyroyal Tea」といった強力なシングルが収録されており、全世界での売り上げは1,500万に達している。

このアルバムの発表を間近に控えたころ、カート・コバーンはオイブザーバー紙のインタビューに答え、音楽的に成長する過程で、イギリス出身のさまざまなグループから多大なる影響を受けたと語っている。たとえばニルヴァーナのゴシック的な要素はジョイ・ディヴィジョンからヒントを受けていた。また、セックス・ピストルズのパンクのエネルギーも大きな刺激となっていた。子供のころ、彼はピストルズのアメリカ・ツアーのレポートを目にした。

「ライヴでああいう曲を聴いたら、きっともの凄く素晴らしいだろうって夢見てた。でもそのころ、俺はまだ11歳だったから、コンサートには行けなかった。その後ようやく、フリッパーやブラック・フラッグといったアメリカのパンク・バンドを聴くチャンスがあって、とことんぶっ飛ばされた。で、自分の天職が何かわかったんです。たくさんのことが同時に起こった。というのも、あれは社会とか政治とか感情とか、そういったいろんなものに対する自分の気持ちを表現していたから。それで髪を切って、自分なりのスタイルでパンク・ロックをやり、ギターを演奏しようと決めた。思い切りディストーションを効かせて、テンポの速い曲をやろうとしたんです」

当時『In Utero』を手にしたニルヴァーナのファンは夢にも思わなかったはずだが、これは彼らにとって最後のアルバムとなった。『In Utero』のリリースから半年もたたないうちに、コバーンは27歳の若さでこの世を去ってしまったからである。そしてニルヴァーナが残した3枚のアルバムは不朽の名作となった。彼らのアルバムの総売り上げは既に7,500万セットを越え、今なおその記録を伸ばし続けている。

Written By Paul Sexton

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