100歳以上の高齢者数は?市区町村別の高齢化率の推移はどうか?(データアナリスト・渡邉秀成)

2020年9月21日(月)は敬老の日です。

毎年、敬老の日が近づくと厚生労働省がプレス・リリースとして住民基本台帳に基づいた100歳以上の高齢者数等を発表します。
2019年に厚生労働省が発表した100歳以上の総数は71238人*1でした。
*1 [https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000547374.pdf](https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000547374.pdf)

高齢者の割合が増えている等の報道を見聞きしますが、具体的な数値をイメージを思い浮かべることがあまりないと思います。そこで具体的なイメージをつかめるように、今回は高齢者等に関する数値を見ていきます。

まず最初に100歳以上の高齢者の総数がどのように推移してきたのかを見てみます。

 

厚生労働省のプレス・リリースに掲載されている数値をグラフ化したものですが、1962年には100歳以上の高齢者は153人でしたが徐々にその数は増え、2012年には5万人以上になっています。

また、100歳以上の人にの中で女性が占める割合は80%前後で、圧倒的に女性が占める割合が多いことがわかります。

男性と女性で平均寿命を比較すると女性のほうが6歳ほど長生きする傾向にあることがわかります。

女性が男性よりも何故長生きするのかについて検索をかけると、この話題は世界的に人々の興味を引く内容なようで、YouTube動画や各種レポート等、たくさんの検索結果が表示されます。

なぜ女性のほうが男性よりも長生きするかについて、さまざまな研究がなされていますが、男性と女性での行動習慣の違い、免疫細胞の活動の違い、生物学的な優位性等によるものではないかと言われています。

これから研究ださらにいろいろなことがわかってくるものと思います。

男性より女性のほうが長生きの傾向にあることは厚生労働省等のデータからわかりましたが、人口10万人当りの100歳以上の高齢者数が多い都道府県はどこなのかを地図にしたものが下記になります。

長野県、中国、四国地方で人口10万人当りの100歳以上の高齢者が多く、首都圏では少ない傾向にあることがわかります。 長野県は平均寿命がトップクラスですが、行政機関がさまざまな政策*を行い、その結果、平均寿命が伸びてきたという背景があります。

このように高齢化社会といわれる日本ですが、高齢化率が高い地域はどこであるかを2015年国勢調査のデータから観察します。市区町村別に65歳以上の住民の割合が3割以上の自治体を赤色で塗りました。大都市近郊以外はほとんど赤色に塗られています。

さらに2000年から2015年の国勢調査結果を同様に色分けした地図を年別に並べると、赤色の部分が徐々に広がってきていることがわかります。

少子高齢化がこれからも進みますので、65歳以上のかたが住民の中に占める割合はこれからも増えていくものと思われます。

2020年は国勢調査が実施される年であるので、今回の国勢調査結果が発表された際に、同じ条件で色分け地図を作成すると、さらに変化が見えるようになると思います。

実際、日中の時間帯に郵便局等に行くと、高齢者のかたの姿を多く目にしますので、高齢化が進んでいることを実感することがありますが、こうやって日本地図を利用して色分け図を作成していくと、全国的に高齢化が進んでいることが視覚的にもわかります。

そして高齢化に関連して話題になるのが年金問題です。
年金問題は国民の関心の高い話題でもあり選挙で投票する際に考慮する内容として、必ず上位にくる問題です。

 

そのような国民の関心のある年金問題に関連して、2019年には老後は2000万が必要との金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」*に関する、当時の金融担当大臣の発言が話題になりました。

「年金制度の崩壊である」、「2000万も貯蓄ができるか」等、さまざまな意見が国民から出て、議論が起きました。

実際、金融広報中央委員会が調査をしている家計の金融行動に関する世論調査(平成30年)*を見ても、
*[https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/](https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/)
年金だけでさほど不自由なく暮らせると思っている人はほとんどおらず、ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる、日常生活費程度もまかなうのが難しいと考える人が多数を占めます。

衆議院選挙も近いと言われる2020年9月の敬老の日ですが、次回の衆議院選挙で少子高齢化対策と年金問題について、各政党はどのような公約をするのか?
そして各政党が過去に公約した少子高齢化対策、年金問題について、どの程度実現できたのか?をしっかりと見極めて、投票の際に思い出すのもいいと思います。

今回は敬老の日にちなんで、高齢化に関する様々な数値を具体的に地図、グラフ等で観察してきました。

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