外出せずに名画堪能 川崎の介護施設で4K「デジタル展示」

モニター画面に映し出されたゴッホの名画「ローヌ川の星降る夜」を紹介する佐々木支配人=川崎市宮前区

 NTT東日本(本社・東京都新宿区)が、情報通信技術(ICT)を活用し、国内外の名画をデジタルデータ化し、モニターに映し出す「デジタル展示」を展開している。今月には福祉施設では初めて、川崎市宮前区の介護付き有料老人ホーム「ヒルデモア」に導入。新型コロナウイルス感染症が収束しない中、外出せずに一流の美術に触れられるとあって、入所者から好評を得ている。

 ホームは、入所者がピアノ演奏や展示などを楽しめるように建設した木造施設に、モニター代わりの4Kテレビを用意。壁に掛けて画面を額縁に入れ、同社が提供するゴッホやゴーギャンの絵画、葛飾北斎の浮世絵のデータを流している。

 ホームで暮らす一色恭子さん(85)は「本物と見間違えるほど。美術館まで出向かなくても名画が見られる」と笑顔を見せ、支配人の佐々木喜章さん(58)も「質感まで忠実に再現されていて、入所者も満足している」と喜ぶ。

 ホームでは感染症を懸念して、絵画教室やヨガ教室など娯楽プログラムが中止に。そこでせめて入所者が楽しめるよう、同社のデジタル展示を導入することを決めた。

© 株式会社神奈川新聞社