米企業や自治体、NGO、1兆本の植林活動「1t.org」に参加 世界初の地域支部

米西部で深刻な山火事が続いている。健全で回復力のある森林は、気候変動の影響を軽減するカギとなる。森林には気温を9度下げ、エネルギーコストを年間で78億ドル削減する力があると言われる。8月、全米26の企業や市町村、団体は世界的に広がる1兆本の植林活動「1t.org」に参加することを表明した。この活動は米国の8億5500万本の木を保全、再生し、さらに育てて行くことを約束するものだ。近年の猛暑や山火事など気候変動によるさまざまな影響に立ち向かっていく狙いがある。(翻訳=梅原洋陽)

今年、世界経済フォーラムはスイス・ダボスで開催された年次総会で「1t.org」を打ち出した。「1t.org」は、国連が2021―2030年を「生態系回復の10年間」と定めた動きを支援するためのプラットフォームだ。失われてきた生態系の回復を世界規模で行い、気候危機に立ち向かい、食の安全性を高め、きれいな水を供給し、地球の生物多様性を保全することを目標としている。世界経済フォーラムとNPOアメリカン・フォレストは、米国内の個人や団体が森林保護活動を行うにあたって必要なツールや技術的な支援を提供していく。

参画するのは、アマゾン、バンク・オブ・アメリカ、クリフバー、ヒューレット・パッカード、マスターカード、マイクロソフト、ペプシコ、セールス・フォース、ティンバーランド、アメリカ森林財団、アーバーデイ基金、全米森林協会、国立森林財団、そしてアイダホ州ボイシー、ミシガン州デトロイト、テキサス州ダラス、アリゾナ州ツーソンといった都市が国内の森林保護に積極的に乗り出している。

米モンタナ州セントメアリー湖

健全な森林は、気候危機に対処するための自然の原理に基づく重要な解決策だ。山火事はひどくなる一方で、カリフォルニアなどの西海岸の州の自然を徐々に消滅させている。近年、企業やNPOが山火事の影響が最も悲惨な地域の森林を再生するための計画に乗り出している。1t.orgは、米国の森林をさらに保全し、再生するための全体的で長期的な取り組みとなるはずだ。米国支部は「1t.org」の最初の地域支部となった。

森林に投資をすることは経済や公衆衛生の質にも影響する。特に新型コロナウイルスによって、経済のみならず公衆衛生も大打撃を受けている現在のような時代にはなおさらだ。最近の世界経済フォーラムのレポートによると、世界の森林を持続可能な方法で管理することは、2030年までに2300億ドル規模のビジネスチャンスと世界中で1600万人もの雇用を生み出すことに繋がるようだ。健康の面で言うと、森林は毎年1740万トンもの大気汚染物質を吸収し、67万件に及ぶ喘息や急性の呼吸器系障害を予防できる。

「森林を保全し、再生することに強いエネルギーと熱量を持っていることを感じる。新型コロナウイルスからの自然を重視した回復は社会や経済の再生に非常に重要だ。再生プランの中心に植林を置けば、私たち、そして未来の世代にとってもサステナブルなやり方をとることになるだろう」と世界経済フォーラムの自然を活用した対策を促進するジャスティン・アダムス氏は言う。

1t.orgは、UpLinkというデジタルプラットフォームを活用し、イノベーションをクラウドソーシングしながら、国連のSDGsを加速させている。UpLinkの1兆本の植林活動は2020年7月に立ち上げられ、解決策や、イニシアティブ、斬新な視点やアイデアを求めている。優秀な提案者は2020年9月21日から開催される世界経済フォーラムのサステナブル・ディベロップメント・インパクト・サミットでの発表に招待される。

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