「コロナが憎い」オール巨人も愛した老舗居酒屋が53年の歴史に幕 学生のバカ騒ぎも…今となっては良い思い出?

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閉店した居酒屋すっぽん

大阪府吹田市で1967年(昭和42)から営業してきた居酒屋「すっぽん」が8月末に閉店した。阪急千里線関大前駅と千里山駅の中間に位置し、関西大の学生や府内屈指の高級住宅街・千里山の住民に愛されてきたが、コロナ禍で53年の歴史に幕を下ろした。漫才コンビ、オール阪神・巨人のオール巨人さん(67)は常連客のひとり。同店存続へ支援を続けてきたがかなわず、公式ツイッターで「しかし寂しいなぁ~コロナが憎い」とつぶやいた。

17歳でアルバイトを始め、26歳で2代目店主となった山口佳孝さん(38)は「なんか夢のようですね。やめるという気がしないし、実感がわかない。悪夢なら覚めて欲しい」と無念の表情を見せる。半世紀以上続いた老舗ののれんを、自ら下ろすことが信じられない様子だった。

閉店した居酒屋すっぽん

料亭のような2階建の大箱居酒屋。1967年、雑貨屋の一角に酒が飲めるカウンターを構える形でオープンしたという。増築を繰り返し、最大300人を超える収容人数を誇った。近くにある関西大千里山キャンパスに通う学生が、ゼミやクラブ・サークルなどの宴会で多用。約50万人いる関西大の卒業生で「すっぽん」での思い出に郷愁をかられる人は多い。

今年1月までは、例年と変わらない繁盛ぶりだったという。稼ぎ時の歓送迎シーズンを前に、異常事態が店を襲った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、関西大は卒業式や入学式を中止。春学期の授業もオンラインになり、学生街から学生や教職員の姿が消えた。キャンパスでの対面授業が再開された今でも、大学は学生に飲み会の自粛を求めている。「1500人分の予約が入っていて、1日で一気にキャンセルになったこともあった」と振り返る。

さまざまな宴会が開かれた大広間も今は…

それでもコロナ禍で仕事やバイトを失った地域住民や学生のために、企業や個人からの協賛を募り、無料で弁当を配るなどの活動も行っていた。常連客の巨人さんも支援。協賛金をもとに、1回30~50食の「巨人スペシャル弁当」がたびたび無料で配布された。週刊誌などでも同店や取り組みを紹介。巨人さんのサブマネジャーが、同店のバイト出身という縁もあった。

居酒屋に逆風が吹く中、コロナ収束の先行きが見通せないことから「開ければ開けるだけ赤字が続いた。この時期にやめれば、人に迷惑をかけずに済む」と、8月いっぱいでの閉店を決めた。最終営業日には巨人さんも駆けつけ、自身のツイッターで「残念です」「地域の方に愛され特に関大生には愛された本当に良いお店で、0円弁当でも地域の皆さんに貢献されてました」などとつぶやいた。

閉店を惜しむメッセージが同店のインスタグラムなどに殺到。「感謝しかないですね。地域のみなさん、関大生の子、職員さんに長年ご愛顧いただいた。お客様の思いや思い出を最後に知ることができて、ありがたかった」と漏らす。

料亭のようなたたずまい

1階は地魚や焼酎をゆっくり楽しむ地域住民や大学教授、2階は大人数のコンパでバカ騒ぎする関大生…と、絶妙な棲み分けができていた。コンプライアンスという言葉も、SNSもまだなかった時代。山口さんは、今なら確実に炎上する学生のバカっぷりを思い出した。

全裸になるばかりか、体毛を燃やす男子学生。2階の大広間に自転車を持ち込み、乗ったまま店の階段を降りた連中。「太陽の季節」や「北斗百烈拳」といって、ナニや拳で障子を破る猛者。「ケンシロウのようにあたたたたた~といって穴を開けていく学生を叱ったら、あと5枚残ってます!と返されたこともありました」。店にとっては迷惑だっただろうが…コロナ禍の今となっては、すべてが美しい思い出になりつつある。

カウンター席にはボトルや銘酒の数々が…

(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)