寸劇DVDで詐欺被害防げ 新上五島署と上五島高放送部制作中

特殊詐欺被害防止の寸劇のDVDを制作した上五島高放送部員(前列)と新上五島署員=同校

 「それは、詐欺ばい」-。新上五島署と長崎県立上五島高(古賀巖校長、313人)の放送部が、特殊詐欺被害防止を啓発する映像作品の制作を進めている。署員が演じる寸劇を、同部の高校生5人が撮影してドラマ仕立てに編集。DVDに収め、管内の老人福祉施設などに無料配布する。
 出演者は、署員でつくる劇団「ばんだけ」のメンバーのうち5人。普段は20、30代の有志約10人が休日を利用し劇の練習や台本づくりに取り組んでいる。
 これまでも、新上五島町など管内で開かれたイベントで防犯の劇を披露した。しかし、新型コロナウイルス禍の影響を受け、大勢の人が集まる機会は減少。啓発促進のため、署が同部に協力を要請し実現した。
 劇は、裁判所をかたるはがきを受け取ったお年寄りの女性が銀行を訪れ、警察官らの助言で被害を免れる-という内容。作品は約10分間で9月中に完成予定。高校生はナレーションも務める。
 新上五島町浦桑郷の同校で収録した。「お金ば宅配便で送らせたり振り込ませたりする架空請求詐欺というとさ」と、署員は方言を交え大きな身ぶりで演技。高校生は、場面ごとにカメラを切り替えながら撮影した。
 お年寄りに扮(ふん)した、奈摩駐在所勤務の森将太郎巡査長(33)は「多くの世代の人に見てほしいので、早口にならずはっきり発音することを心掛けた」。同部の2年生、前田笙太朗さん(17)は「祖父母は健在で、島のお年寄りが犯罪に巻き込まれないようにと願いを込めた」と話した。

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