マツダCX-30で木曽路を行く、計700kmをロングドライブしてわかったこと

GoToトラベル東京発着分が10月1日から追加になります。まだまだ新型コロナの感染拡大は懸念されますが、十分な予防策を施した上で木曽路の奈良井宿を目指してドライブ。マツダCX-30の日常性をチェックしてみました。


ゆったりロングドライブで分かること

メーカーが開催するジャーナリスト向け試乗会と言えば、起点となる場所に並んだニューモデルを取っ替え引っ替えしながら乗り回したり撮影したりというのが一般的です。試乗できる時間はほとんどが一枠1時間前後で、一日数枠に予約を入れながら試乗します。その間にジャーナリストや媒体スタッフはすべての取材を終えなければなりませんから、けっこう慌ただしいのです。

「出来ればゆっくり、普段使いを試してみたいなぁ」ということになると、別の日に数日間、試乗車をお借りして使ってチェックすることになりますが、この予約が集中している場合、なかなか思うようにいきません。そんなときに2日間、 CX-30で木曽路の奈良井宿、そして松本や諏訪湖周辺などのステージを自由に走り、テストするというプランをマツダが用意してくれました。往復するだけでも500km、周辺を走ることを考えると総走行距離は700~800kmほどですが、それでもCX-30のポテンシャルを持ってすれば、それほどストレスを感じるルートではないはず。高速でのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の使い勝手やワインディング、市街地の使い勝手など一気に試せる機会を有効に過ごしたいと思い、横浜にあるマツダR&Dに向かいました。

さっそく借り出したのが1.8Lのクリーンディーゼルエンジン搭載モデル、FF(前輪駆動)です。東京などのあまり雪降雪の心配の無い都市部で使うなら、もっとも一般的な仕様でしょう。

相変わらずボディサイドの特徴的な面デザインと、ブラックアウトしたボディ下部とのバランスもよく、SUVとしても魅力的なスタイルだと思います。横浜の市街地にすんなりと溶け込むエクステリア、ウインドウに映るスタイルに、悪くないなぁと感じながら少し走ります。さらに以前、借りたときに感じた都市部での使い勝手ですが、機械式駐車場にスッと入庫できる点はやはり心強いものがあります。全高1540mmというサイズですからほとんどの機械式で問題なく駐車できるのは本当に助かります。

そんなことを思いながら高速に乗り込みました。いよいよ木曽路奈良井宿を目指し、片道250kmあまりのロングドライブです。

ACCの作動にちょっぴり注文が…

首都高から東名、厚木で圏央道に入り北上して八王子ジャンクションから中央道で塩尻IC、一般道で奈良井宿というルートです。シートに座り、まっすぐ手を伸ばした先にステアリングがあり、さらにまっすぐ足を伸ばした先にペダルやフットレストがあるという、マツダ車のドライビングポジションはフィット感がいいです。体がステアリングやペダルに対してオフセットしていないのでロングドライブでもストレスが少ないのです。

東京から300km弱、ゆったりと走って3時間少々、これからが絶好のシーズンを迎える奈良井宿。

そんなことを感じながら走っていると東名でノロノロに巻き込まれました。ACCはオンにしていましたので、ここでもストレス無く、渋滞を抜けることが出来ました。もちろん、このACCにおいて特別使いにくいこともなかったのですが、同じような制御レベルは他のメーカーでもやっていることなので「マツダのACCも問題なく使えます」と言う感じでしょうか。

それにしてもACCは本当に便利なのですが、一方で油断を生むこともあります。居眠りもありますが、とくに車線逸脱においてですが、付いてですがマツダの警告やステアリング操作への介入が余あまり強くないので、ピピピという警告のまま、車線をはみ出すことがあります。ドイツ車などはもう少しステアリングをグググっと強いトルクで戻してくれ、車線を跨がないように介入してくれるのです。これはメーカーの考え方にもよる味つけの差だと思いますが、国産メーカーは制御が少なく、欧州車は強く介入してくる場合が多いと思います。個人的には強く介入し、操作してくれる方が安心だと思います。ですが、なかにはこれを煩わしいと感じる人も多くいると、あるメーカーのエンジニアに聞いたことがあります。

さてACCの使い勝手や高速での乗り心地を確認しながら3時間ほどで塩尻到着です。この先は国道20号から国道19号を走り、奈良井宿を目指します。

途中のワインディングなどを楽しみながらの郊外ドライブ……と思ったのですが私達が考えるようなくねくねとしたワインディングではなく、ごくごく走りやすい快適な国道19号を走ることになりました。

ゆったり走っても軽快さが感じられます

平日ということもあり塩尻市街を抜けたあとの国道19号の交通量もそれほど多くなく、あっと言う間に奈良井宿に着いてしまいました。そこで集合場所になっているポイントには直行せず、寄り道というか近くにあるワインディングルートに突入してみました。国道19号にある木祖村を基点にした「きさらぎの道」と呼ばれるルートで、その先にはやぶはら高原スキー場などがあります。これがまた何とものどかな道で、田園風景の美しさに思わずクルマを何度か止めながら、ごくごく普通に軽快なドライブを楽しんでいました。

のどかな風家の中でも存在感があるエクステリアだと感じました。

ディーゼルエンジンのトルクフルな走りはとても頼りになります。曲がりくねった山道ではSUVとしてはかなりレベルの高いスポーティさを感じながら運転できます。サスペンションのセッティングと、そして重心高が低いために、安定感のある走りを提供してくれます。絶対速度に頼ったスポーティな走りではなく、ゆったりしていても軽快さを程よく感じながらのドライブは、300kmあまり走ってきた体にも優しく受け入れることが出来ます。

のどかなドライブをたっぷりと楽しんだところで、そろそろ奈良井宿へと向かいます。本来ならば日本人はもとより、世界中から観光客が押し寄せていてもおかしくない奈良井宿。残念ながら観光客もまばら。私達にとってみれば静かでゆったりと撮影も出来るわけですが、やはり少しでも早く本来の姿に戻ってくれることを願いながら宿場町の中でクルマを改めて撮影しました。

燃費も良好

都会で映えるスタイルですが、こうした日本的な風景の中にもすんなりと溶け込みます。さらに奈良井宿で再確認できたことは、車両感覚が掴みやすく、狭い路地や観光地のゴチャゴチャとした駐車スペースでも扱いやすいため、本当にストレスが少ないことです。

奈良井宿でランチを済ませたあとは松本の宿に向かって再スタート。途中で観光スポットをいくつか巡りながら夕方17時に宿に到着。この時点での総走行距離は350km、燃費は18.6km/Lと良好です。もう少し主体でゆっくりと走れば20km/L台に乗せることも出来たかもしれませんが、これでも十分に大満足です。

こうして過ごしたロングドライブは普段の試乗会ではなかなか経験できないことなのですが、より明確にCX-30の日常性が理解できました。そして、それ以上に自由に移動できること、好きな場所に好きなときに好きな人とドライブして、地元の人たちと自由にふれあうことの出来ることがどれほど幸福なことであるかを、改めて噛みしめることができました。一日も早く、何の屈託もなくドライブ出来る日が来てくれることを願いながらのテストドライブでした。さぁ、明日の帰路も安全運転だ!

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