アール・ブリュット展

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 刺激的で強いエネルギーを放つ作品が会場に並んでいる。長崎市の県美術館で開催中の「日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルin九州」(実行委など主催)▲正規の芸術教育を受けていない障害者による独自の芸術作品アール・ブリュットの展覧会だ。花などの絵柄を大胆に単純化したり、綿密に描いた小さな四角の中の一つ一つにさらに細かく描き込んでいたり。ひもや縄を編んで紙に貼り、彩色するなど独創的手法も▲長い時間をかけて制作したと思われるものが少なくない。西海市の坂口倫太朗さんの「動物の大行進(1)」は全長18メートル。会場内の中空に飾られ、来場者をわくわくさせている▲どれも、ただ純粋に描くことが好きで、表現したいことに没頭し制作されたものだ▲何かのプリント用紙の裏紙に描かれた作品は、表の活字が透けて見えている。まさか美術館に飾られるとは思わず、家族らが身の回りの紙を与えたのだろうか。長年励まし、褒め、時に涙をこらえて支えてきた保護者や関係者の温かなまなざしも思い浮かべることができる▲きょうは「秋分の日」。芸術の秋がやって来た。障害者の作品の多くはカラフルでユーモラス。コロナ禍や災害、経済低迷などで疲れた市民の心を慰め、大きなパワーをくれるはずだ。26日まで。(貴)